○大崎市障がいのある人のコミュニケーション手段の利用を促進する条例

令和元年6月13日

条例第21号

私たちが日常生活を営む上で,障がいの有無にかかわらず,等しく情報を取得し,互いにコミュニケーションを図ることは,欠かすことのできないものである。

しかしながら,障がいのある人の多くは,生活に必要な情報や周りの人とのコミュニケーションが困難な場面があり,日常生活に不安を抱えながら生活している。

平成18年の国連総会において採択された「障害者の権利に関する条約」では,合理的配慮の概念が盛り込まれるとともに,手話が独自の言語として位置付けられた。わが国では,この条約への署名を機に,障害者基本法の改正など障がいに対する様々な国内法の整備が推進され,平成26年にこの条約を批准した。また,地方公共団体においても,障がいのある人を取り巻く環境は大きな転換期を迎えている。

このような状況のもと,「手話が言語である」ことの意義や多様な手段によるコミュニケーションの必要性等を認識し,大崎市に生きる一人ひとりを尊重し,障がいの有無にかかわらず,誰もが安心して安全に暮らすことのできる地域の実現を目指し,ともに手をとり行動するため,この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は,障がいのある人が有する障がいの特性(以下「障がい特性」という。)に応じた手段により情報を取得し,及びコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備に関する基本理念を定め,市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに,コミュニケーション手段の普及及び利用の促進に関し市が推進する施策の基本的な方針を定めることにより,誰もが安心して安全に暮らすことのできる地域の実現を目指すことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

(1) 障がいのある人 身体障がい,知的障がい,精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい(以下「障がい」という。)がある者であって,障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

(2) コミュニケーション コミュニケーション等手段を用いた意思疎通をいう。

(3) コミュニケーション等手段 次に掲げるものをいう。

 音声,音訳及び代用音声等の音声言語

 文字(拡大文字を含む。),手話,筆談,要約筆記,字幕,点字,触手話及び指点字等の非音声言語

 絵図,記号,サイン及びジェスチャー

 重度障がい者用意思伝達装置及びパソコン等の情報機器等

 情報の取得及びコミュニケーションを行う際に必要な手段(人的支援を含む。)として活用されているもの

(4) 社会的障壁 障がいのある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物,制度,慣行,観念その他一切のものをいう。

(5) コミュニケーション等支援者 コミュニケーション等手段を用いて障がいのある人を支援する者をいう。

(6) 合理的な配慮 社会的障壁を取り除くために,状況に応じて行われる配慮で,可能な範囲で最大限提供されるものをいう。

(基本理念)

第3条 障がいのある人の情報取得及びコミュニケーションを円滑に行う権利は,障がいのある人が生活をする上で必要不可欠であるという市民の理解のもとに,最大限尊重されなければならない。

2 意思疎通に関する合理的な配慮は,障がい特性に応じ,障がいのある人が真に必要とするものでなければならない。

(市の責務)

第4条 市は,前条に規定する基本理念にのっとり,手話への理解の促進及び普及を図るとともに,障がいのある人における手話その他コミュニケーション等手段による情報取得及びコミュニケーションの円滑化に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(市民の役割)

第5条 市民は,障がいの有無にかかわらず,基本理念に対する理解を深め,コミュニケーション等手段の普及及び利用の促進に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第6条 事業者は,基本理念に対する理解を深め,障がいのある人がコミュニケーション等手段を利用できるようにするための合理的な配慮を行うよう努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 市は,障がい特性に合わせたコミュニケーション等手段の利用しやすい環境の構築及び利用の促進のため,次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 障がいのある人の情報取得及びコミュニケーションの支援の充実

 コミュニケーション等支援者の養成

 コミュニケーション等支援者の派遣

 録音版,点字版その他の多様な方法での情報発信

 情報取得及びコミュニケーションの支援のための機器の情報収集及び利用普及

(2) 障がいのある人にとってのコミュニケーション等手段の意義及び必要性の市民への啓発

(3) 前2号に掲げるもののほか,市長が必要と認める施策

2 市は,施策の推進に当たっては,障がいのある人,コミュニケーション支援者その他関係者の意見を聴き,その意見を尊重するものとする。

(財政上の措置)

第8条 市は,コミュニケーション等手段の普及及び利用の促進に係る施策を推進するため,必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

1 この条例は,公布の日から施行する。

2 市は,社会環境の変化及びこの条例の施行状況を勘案し,必要があると認めるときは,この条例の施行状況について検討を加え,その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。

大崎市障がいのある人のコミュニケーション手段の利用を促進する条例

令和元年6月13日 条例第21号

(令和元年6月13日施行)

体系情報
第9編 生/第1章 社会福祉/第5節 障害者福祉
沿革情報
令和元年6月13日 条例第21号