○大崎市食料,農業及び農村基本条例

平成18年3月31日

条例第205号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 基本的施策

第1節 基本方針(第8条)

第2節 食料の安全性に関する施策(第9条―第12条)

第3節 食料自給率の向上に関する施策(第13条・第14条)

第4節 農業経営の安定に関する施策(第15条―第19条)

第5節 自然環境と共生する農村振興に関する施策(第20条)

第6節 消費者と生産者の交流に関する施策(第21条)

第3章 食料,農業及び農村基本計画(第22条―第26条)

附則

食料は,人が生きていくために欠くことのできないものであり,大気,水,土壌等良好な自然環境,生産する人,消費する人との共生から生み出されるものである。

本市は,広大で肥沃な耕地に恵まれ,先人たちのたゆまぬ努力により,農業を基幹産業として良質な農産物の供給と自然環境の保全,そして潤いのある市民生活を提供しつつ,田園都市として大きな発展を見た。

農業及び農村を取り巻く状況は,自然的,社会的条件で変動しやすく困難な事態にさらされることもあるが,そのような中にあっても食料の供給及び環境の保全の両面から,農業及び農村を持続的に発展させることが大切である。

私たちは,ここに農業の果たす社会的責務と役割を深く感謝し,市民の安全で安心な暮らしを実現するためにこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は,食料,農業及び農村の在り方についての基本理念を定め,市,農業者及び農業に関する団体(以下「農業団体」という。)の責務並びに農業者及び市民の役割を明らかにするとともに,食料,農業及び農村に関する基本的な施策等を定めることにより,豊かで住みよい環境の保全に配慮し,持続的に発展する田園都市の実現に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 食料は,人の生命の維持に欠くことのできないものであり,健康で充実した生活の基盤となるものであることにかんがみ,地域内での自給を基本とし,国内自給率の向上及び不測の事態への対応にも貢献することを目標に,安全な食料を安定的に供給することにより,将来にわたって消費者及び生産者がともに安心を築くものでなければならない。

2 農業は,農地,農業用水その他の農業資源及び担い手が確保されるとともに,農業の自然循環機能(食料・農業・農村基本法(平成11年法律第106号。以下「法」という。)第4条に規定する自然循環機能をいう。以下同じ。)が維持増進され,持続的な発展が図られなければならない。

3 農村は,田園都市としてふさわしい,農村の持つ多面的機能(法第3条に規定する多面的機能をいう。)を活用した生産,生活及び良好な地域活動の場として調和のとれた地域社会とならなければならない。

(市の責務)

第3条 市は,前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり,食料,農業及び農村に関する施策を総合的に策定し,実施しなければならない。

2 市は,前項の施策を講ずるに当たっては,国,県及び農業団体と適切な連携を図らなければならない。

(農業者の責務)

第4条 農業者は,安全かつ安定的な食料の供給のため,自然環境との共生に積極的に取り組みながら,基本理念の実現のために努力しなければならない。

2 農業者は,市に対し地域の食料,農業及び農村に関する施策を提言し,市が実施する施策に協力するものとする。

3 農業者は,市民に対し地域の食料,農業及び農村に関する取組について,積極的な情報提供に努めなければならない。

(農業団体の責務)

第5条 農業団体は,専ら農業を営む者及び経営意欲のある農業者が効率的,安定的な農業経営ができるよう生産,流通その他必要な施策を講じなければならない。

2 農業団体は,市に対し地域の食料,農業及び農村に関する施策を提言し,市が実施する施策に協力するものとする。

3 農業団体は,食料,農業及び農村に関する情報提供等を通じて市民の関心を高めるよう努めなければならない。

(事業者の役割)

第6条 食品産業にかかわる事業者は,安全な食品を消費者に供給するとともに,その事業活動において地域の農業及び農村の持続的発展に貢献するよう努めるものとする。

(市民の役割)

第7条 市民は,農業及び農村の持続的発展に協力するため,日常生活において地場産農産物を中心とする消費に努めるとともに,市が実施する施策に協力するものとする。

第2章 基本的施策

第1節 基本方針

第8条 市の食料,農業及び農村に関する施策は,次に掲げる事項をその基本方針として策定し,実施されなければならない。

(1) 食料の安全性に関する施策

(2) 食料自給率の向上に関する施策

(3) 農業経営の安定に関する施策

(4) 自然環境と共生する農村振興に関する施策

(5) 消費者と生産者の交流に関する施策

第2節 食料の安全性に関する施策

(農業の自然循環機能の維持増進)

第9条 市は,安全な食料の供給と循環型で持続的に発展する農業を確立するため,有機栽培農法の推進,輪作体系の確立その他農業の自然循環機能の維持増進に必要な施策を講ずるものとする。

2 市は,農業による環境への負荷(大崎市環境基本条例(平成18年大崎市条例第188号)第2条第1号に規定する環境への負荷をいう。)の低減を図るため,農薬及び化学肥料の使用縮減の推進その他必要な施策を講ずるものとする。

(食料の安全性に関する情報提供)

第10条 市は,安全で安心な食料の安定的な供給を図る施策を講じるとともに,食料の安全性について市民に対し情報提供するものとする。

(先端技術に関する対策)

第11条 市は,農業者及び事業者が遺伝子組替えその他先端技術を利用し,及び使用する際には,市民の健康と環境に及ぼす影響について安全性が確保されるよう必要な施策を講ずるものとする。

(食農知識の普及)

第12条 市は,農業及び農村の持続的発展について市民の理解を深めるため,食料,農業及び農村に関する知識の普及その他必要な施策を講ずるものとする。

2 市は,学校給食を始め公共機関等において,積極的な地元農産物の活用等を通し,食農知識の普及を図るものとする。

第3節 食料自給率の向上に関する施策

(適地作物の栽培奨励)

第13条 市は,地域内及び国内の食料自給率の向上に貢献するため,国,県及び農業団体と適切な連携を図り,地域特性に合った作物の栽培を奨励するものとする。

(需要と供給の調整)

第14条 市は,特定の食料が全国的に供給過剰状態となった場合において,国,県及び農業団体と適切な連携の下に需給の均衡を図るために生産者の調整その他必要な施策を講ずるものとする。

2 前項においては,農業者間の公平を保ちながら農地の有効を確保するため,地域内調整を推進するものとする。

第4節 農業経営の安定に関する施策

(産地化の形成)

第15条 市は,地域の特性を生かした収益性の高い作物の生産拡大を図るため,産地化の形成に必要な施策を講ずるものとする。

(農作物の価格安定)

第16条 市は,前条に定める作物の価格変動が,農業経営に及ぼす影響を緩和するために必要な施策を講ずるものとする。

(中核的な担い手の育成)

第17条 市は,食料の安定供給の担い手として,地域における経営意欲のある中核的な農業者及び生産組織の育成のため,農地の利用集積その他必要な施策を講ずるものとする。

(多様な担い手の育成)

第18条 市は,農業の多様な担い手を育成するため,次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 家族経営の活性化の促進

(2) 農業経営の法人化の推進

(3) 新たに就農しようとする担い手に対する支援

(4) 女性の農業経営及びこれに関連する活動に参画する機会を確保するための支援

(5) 前各号に掲げるもののほか,多様な担い手に対する農業経営及び技術習得の支援

(優良農地の確保)

第19条 市は,農業生産に必要な優良農地の確保と有効かつ効率的な利用促進に向け,圃場の整備及び汎用化その他必要な施策を講じるものとする。

第5節 自然環境と共生する農村振興に関する施策

(農村の振興)

第20条 市は,農業の発展と健全な農村社会及び農村の良好な生活環境の実現を図り,自然環境との共生に配慮した農村の総合的な振興策を講ずるものとする。

2 市は,農村の混住化に対応し,地域のコミュニティの形成を図りながら社会的財産としての伝統,文化等の保全策を講ずるものとする。

第6節 消費者と生産者の交流に関する施策

(消費者と生産者の交流)

第21条 市は,消費者と生産者の地域内交流の促進を目指す市民及び農業団体の取組を助長するため,市(いち)や直売の奨励,契約栽培の促進,市民農園の拡充,体験農業の奨励その他必要な施策を講ずるものとする。

第3章 食料,農業及び農村基本計画

(基本計画の策定)

第22条 市長は,前章に定める施策を計画的に推進するため,おおむね5年を期間とする基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。

(基本計画の内容)

第23条 基本計画は,次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 食料自給率の向上に向けた市内農産物の主要目標

(2) 優良農地確保の目標面積及び農業・農村振興に関する主要な目標

(3) 前2号の目標の達成に向けた主要な方策及び施策

(4) 前3号に掲げるもののほか,食料,農業及び農村振興に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策

(意見聴取)

第24条 市長は,基本計画を定めるときは,大崎市農業・農村振興対策審議会条例(平成18年大崎市条例第46号)第1条に規定する大崎市農業・農村振興対策審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

(基本計画の公表)

第25条 市長は,基本計画を定めた場合,速やかに公表しなければならない。

(基本計画と実施の評価)

第26条 市長は,食料,農業及び農村をめぐる情勢の変化に対応するため,2年ごとに審議会において基本計画及び施策の実施状況について評価を受けなければならない。

2 前項の評価に基づき,基本計画を変更する場合においては,前2条の規定を準用する。

この条例は,平成18年3月31日から施行する。

大崎市食料,農業及び農村基本条例

平成18年3月31日 条例第205号

(平成18年3月31日施行)

体系情報
第10編 産業経済/第2章 林/第2節
沿革情報
平成18年3月31日 条例第205号