○大崎市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例
令和3年3月9日
条例第3号
目次
第1章 総則(第1条―第7条)
第2章 抑制区域(第8条)
第3章 届出等(第9条・第10条)
第4章 地熱発電事業(第11条―第13条)
第5章 特定事業
第1節 廃棄等費用の確保及び管理(第14条―第16条)
第2節 損害賠償責任保険等への加入(第17条)
第6章 雑則(第18条―第24条)
附則
第1章 総則
(令6条例34・章名追加)
(目的)
第1条 この条例は,大崎市の豊かな自然環境や田園環境,美しい景観及び安全・安心な生活環境(以下「自然環境等」という。)の保全並びに観光産業を支える地熱資源の保護を基本として,再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和を図るために必要な事項を定めることにより,自然環境等に配慮した,潤いのある豊かな地域社会及び住み続けられるまちづくり並びに地熱資源の将来にわたる持続可能な活用による産業振興及び公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(令6条例34・一部改正)
(1) 再生可能エネルギー源 非化石エネルギー源のうち,エネルギー源として永続的に利用することができる太陽光(太陽熱を含む。),風力,水力,地熱及びバイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの)をいう。
(2) 発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)をいう。
(3) 事業 発電設備を設置する事業(当該事業のために行われる調査及び土地の造成工事(立木の伐採,切土,盛土等を含む。)を含む。)をいう。
(4) 事業者 事業を計画し,これを実施する者(国及び地方公共団体を除く。)をいう。
(5) 事業区域 事業を行う一団の土地(発電設備に附属する管理施設,変電施設,緩衝帯等に係る土地を含む。)の区域であって,柵,塀等の工作物の設置その他の方法により当該一団の土地以外の土地と区別された区域をいう。
(6) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(7) 行政区 大崎市行政区設置に関する規則(平成18年大崎市規則第5号)第1条第2項の別表第1に規定する区域の行政区をいう。
(8) 住民等 事業区域を含む行政区又は事業の実施により自然環境等に一定の影響がある区域(以下この号において「事業影響区域」という。)に居住する者及びこれらに所在する法人その他団体並びに事業影響区域に土地又は建築物を所有する者をいう。
(9) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。
(10) 特定事業 発電出力が50キロワット以上の事業(建築物の屋根,壁面又は屋上に設置する太陽光発電事業を除く。)をいう。
(令6条例34・一部改正)
(基本理念)
第3条 大崎市の豊かな自然環境等は,市民の長年にわたる努力により形成されてきた市民共通のかけがえのない財産であり,将来にわたってその恵沢を享受し,持続可能な未来を構築できるよう,市民の意向を踏まえて,その保全及び活用が図られなければならない。
(市の責務)
第4条 市は,前条に定める基本理念にのっとり,この条例の適切かつ円滑な運用を図らなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は,関係法令及びこの条例を遵守するとともに,大崎市の豊かな自然環境等に十分配慮し,住民等との良好な関係の保持並びに地域振興に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は,発電設備及び事業区域の適正な管理をしなければならない。
3 事業者は,事業で発生する廃棄物を適正に処理するとともに,事業を廃止しようとするときは,速やかに,発電設備を撤去し,及び適正に処分し,並びに事業区域に係る土地を適正に回復しなければならない。
4 事業者は,計画的に資金を積み立てることその他の方法により,次に掲げる費用に充てる資金を確保しなければならない。
(1) 発電設備の維持管理に要する費用
(2) 発電設備の解体及び撤去並びにこれに伴い発生する廃棄物の処理に要する費用(以下「廃棄等費用」という。)
(3) 前2号に掲げるもののほか,事業の廃止に要する費用
(令6条例34・一部改正)
(市民の責務)
第6条 市民は,第3条に定める基本理念にのっとり,市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。
(適用を受ける事業)
第7条 この条例の規定は,発電出力10キロワット以上の事業に適用する。ただし,次に掲げるものについては,この限りでない。
(1) 建築物の屋根,壁面又は屋上に発電設備を設置する太陽光発電事業
(2) 個人が自己の居住する土地及び隣接する土地に発電設備を設置する事業であって発電出力50キロワット未満のもの(次条第1項に規定する抑制区域において実施される事業を除く。)
(3) 既存の温泉を採取している井戸(以下「既存井」という。)を利用した地熱発電事業であって事業実施前後において当該温泉の湧出量に変化を生じないもの
2 この条例の規定は,既に設置された発電設備を増設することにより,前項に規定する発電出力以上となる事業においても適用する。
(令6条例34・一部改正)
第2章 抑制区域
(令6条例34・章名追加)
第8条 市長は,次に掲げる区域のうち特に必要があると認めるときは,規則で定めるところにより,事業者に対し事業の抑制を求めることができる区域(以下「抑制区域」という。)を指定することができる。
(1) 土砂災害又は発電設備の設置に伴う災害が発生するおそれがある区域
(2) 豊かな自然環境及び田園環境が保たれ,地域における貴重な資源として認められる区域
(3) 特色ある景観として良好な状態が保たれている区域
(4) 歴史的又は文化的な特色を有する区域として保全する必要がある区域
(5) その他市長が必要と認める事由のある区域
2 市長は,必要があると認めるときは,前項の規定により指定された抑制区域を変更し,又はその指定を解除することができる。
3 市長は,前2項の規定により抑制区域を指定し,又はその指定を変更し,若しくは解除しようとするときは,大崎市環境基本条例(平成18年大崎市条例第188号)第25条に規定する大崎市環境審議会(第23条において「大崎市環境審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
(令6条例34・一部改正)
第3章 届出等
(令6条例34・章名追加)
(届出)
第9条 事業者(地熱発電事業に係るものを除く。以下この章において同じ。)は,第7条に規定する事業を実施しようとするときは,あらかじめ,規則で定めるところにより,当該事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を市長に届け出なければならない。
2 事業者は,前項の規定により届け出た事業計画を変更しようとするときは,速やかに,その旨を市長に届け出なければならない。ただし,事業計画の変更が規則で定める軽微なものについては,この限りでない。
3 事業者は,第1項の規定により届け出た事業計画を中止し,又は廃止しようとするときは,速やかに,その旨を市長に届け出なければならない。
4 事業者は,事業譲渡,相続,合併又は分割によりその地位を継承したときは,速やかに,その旨を市長に届け出なければならない。
(令6条例34・一部改正)
3 事業者は,実施しようとする事業が特定事業に該当しない場合は,対象住民等への戸別訪問その他適当な方法をもって対象住民等に事業計画を周知することにより,前項の説明会に代えることができる。
5 対象住民等は,規則で定めるところにより,事業者に対し,事業計画について意見を申し出ることができる。
6 事業者は,前項の規定による意見の申出があったときは,規則で定めるところにより,当該申出をした対象住民等と協議しなければならない。
7 事業者は,対象住民等の理解が得られるよう努めるものとする。
(令6条例34・一部改正)
第4章 地熱発電事業
(令6条例34・追加)
(モニタリングの実施)
第11条 地熱発電事業を実施しようとする事業者は,事業区域の周辺で湧出している源泉の所有者の意向を確認し,必要に応じて既存源泉等の状況を確認するためのモニタリングの実施に努めなければならない。
2 地熱発電事業を実施しようとする事業者は,温泉の湧出量の減少等周辺環境の変化が認められた場合には,影響調査を実施し,事業が原因であった場合には,必要な措置を講じなければならない。
(令6条例34・追加)
(地熱発電事業の届出)
第12条 地熱発電事業を実施しようとする事業者は,次に掲げる行為を行う前に,あらかじめ規則で定めるところにより,事業計画を市長に届け出なければならない。
(1) 地熱資源賦存状況調査(既存資料調査及び既存井の調査を除く。)を行うとき。
(2) 温泉法(昭和23年法律第125号)第3条第1項又は第11条第1項の許可に基づく掘削等を行うとき。
(3) 発電設備の設置工事を行うとき。
(令6条例34・追加)
(令6条例34・追加)
第5章 特定事業
(令6条例34・追加)
第1節 廃棄等費用の確保及び管理
(令6条例34・追加)
(保証金の預入及び質権設定等)
第14条 事業者は,特定事業を行うときは,適切に廃棄等費用を確保していることを保証するため,廃棄等費用の積立計画に基づき当該特定事業に係る現金(以下「保証金」という。)を金融機関に預入しなければならない。ただし,次の各号に該当する場合は,この限りでない。
(1) 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第15条の12第2項の規定による積立てを行う場合
(2) 地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号)第22条の2第3項の規定により認定した地域脱炭素化促進事業計画に基づき実施される特定事業である場合
(3) その他市長が認める事由がある場合
2 前項の規定による保証金の額は,次に掲げる額のうちいずれか高い額とする。
(1) 特定事業に係る資本費(発電設備の設置に係る工事費の総額をいう。)の100分の5に相当する額
(2) 事業に係る廃棄等費用の見積額
3 事業者は,第1項の規定により保証金を預入したときは,当該保証金に係る預金債権について市と質権設定契約を締結するとともに,当該質権の設定につき,市に対抗要件を備えさせなければならない。この場合において,市長は,当該質権設定契約をした旨及び当該保証金の額を公表するものとする。
(令6条例34・追加)
(保証金の使途)
第15条 市長は,事業者が第22条の命令を受けたにもかかわらず,当該勧告に係る措置の全部又は一部を履行しなかったことにより,災害の発生の防止又は自然環境等の保全に著しい支障が生じると認める場合は,行政代執行法(昭和23年法律第43号)第2条又は第3条第3項の規定により市が講じた措置に要する費用のうち廃棄等費用に該当するものに当該保証金を充てることができる。
2 市長は,前項の措置を講じた場合において,保証金の額が当該措置に要した額より少ないときは,その差額を事業者に負担させることができる。
3 前項の規定により事業者に負担させる費用の徴収については,行政代執行法の規定の例によるものとする。
(令6条例34・追加)
(質権設定契約の解除等)
第16条 市長は,次に掲げる場合は,第14条第3項の規定により締結した質権設定契約を解除するものとする。
(3) 当該事業の発電設備の廃止に係る解体等を完了したとき。
(1) 発電設備の解体等に伴い発生する廃棄物の処理のために保証金を使用するとき。
(3) 前2号に掲げるもののほか,市長が特別な理由があると認めるとき。
3 前項の申入れがあった場合において,市長は,保証金を減額しても適切に廃棄等費用が確保されていると認めるときは,保証金を減額することができる。
(令6条例34・追加)
第2節 損害賠償責任保険等への加入
(令6条例34・追加)
第17条 事業者は,特定事業の実施に当たっては,特定事業の発電設備の設置に着手する日から特定事業の発電設備を廃止する日までの間,当該特定事業の実施に起因して生じた他人の生命若しくは身体又は財産に係る損害を補填する保険及び自然災害や地震等の発生により事業に係る修繕,撤去,廃棄の費用を補償するための火災保険,地震保険等(以下「損害賠償責任保険等」という。)に加入しなければならない。ただし,設置工事に係る期間中の損害賠償責任保険等への加入に当たっては,当該設置工事を請け負う者が,損害賠償責任保険等への加入をすることで足りるものとする。
(令6条例34・追加)
第6章 雑則
(令6条例34・章名追加)
(令6条例34・旧第11条繰下・一部改正)
(事故発生時の措置等)
第19条 事業者は,次に掲げる事態が生じたときは,直ちに必要な措置を講じるとともに,規則で定めるところにより,その内容を市長に報告しなければならない。
(1) 発電設備若しくは発電に用いる再生可能エネルギー源に起因する事故若しくは災害が発生し,又は発生するおそれが生じたとき。
(2) 発電設備若しくは発電に用いる再生可能エネルギー源に起因する公害の原因となる物質が発生し,又は発生するおそれが生じたとき。
2 前項の報告を行った発電事業者は,事故等の拡大及び再発防止のために必要な措置に関する計画を作成し,市長に報告しなければならない。
(令6条例34・追加)
(報告及び立入調査)
第20条 市長は,この条例の施行に必要な限度において,事業者に対し報告若しくは資料の提出を求め,又は市の職員に事業区域に係る土地に立ち入り,当該事業に関する事項について調査させ,若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査をする市の職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があったときは,これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は,これを犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(令6条例34・旧第12条繰下)
(助言,指導又は勧告)
第21条 市長は,必要があると認めるときは,事業者に対して,必要な措置を講じるよう助言又は指導を行うことができる。
(7) 前条第1項の報告若しくは資料の提出をせず,若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし,又は立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,若しくは質問に答弁せず,若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(8) 事業が自然環境等に重大な影響を与えるおそれがあると認められるとき。
(9) 前各号に掲げるもののほか,市長が特に勧告する必要があると認めるとき。
(令6条例34・旧第13条繰下・一部改正)
(命令)
第22条 市長は,前条第2項の勧告を受けた事業者が,正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは,その者に対し,その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
(令6条例34・追加)
(公表)
第23条 市長は,前条の規定による命令を受けた事業者が,正当な理由なく当該命令に従わないときは,当該命令に従わない事業者の氏名及び住所並びに当該命令の内容を公表することができる。
2 市長は,前項の規定による公表をしようとするときは,あらかじめ,大崎市行政手続条例(平成18年大崎市条例第15号)第3章第3節の規定の例により,当該事業者に弁明の機会を与えなければならない。
3 市長は,第1項の規定による公表をしようとするときは,大崎市環境審議会の意見を聴かなければならない。
(令6条例34・旧第14条繰下・一部改正)
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
(令6条例34・旧第15条繰下)
附則
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日前において,事業(第7条第2項に規定する事業を除く。)に着手したものについては,この条例の規定は,適用しない。
3 この条例の施行の日以後90日を経過する日までの間に事業に着手しようとする場合は,第10条第1項中「当該事業に着手しようとする日の90日前までに」とあるのは,「速やかに」と読み替えるものとする。
附則(令和6年12月18日条例第34号)
(施行期日)
1 この条例は,令和7年4月1日(以下「施行日」という。)から施行する。
(経過措置)
2 施行日前に着手した事業(第7条第2項に規定する事業を除く。)については,なお従前の例による。
3 施行日以後90日を経過する日までの間に事業に着手しようとする場合は,第10条第1項中(第13条において準用する場合を含む。)「当該事業に着手しようとする日の90日前までに」とあるのは,「速やかに」と読み替えるものとする。