○大崎市自然環境等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例
令和3年3月9日
条例第3号
(目的)
第1条 この条例は,大崎市の豊かな自然環境や田園環境,美しい景観及び安全・安心な生活環境(以下「自然環境等」という。)の保全と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和を図るために必要な事項を定めることにより,自然環境等に配慮した,潤いのある豊かな地域社会及び住み続けられるまちづくりに寄与することを目的とする。
(1) 再生可能エネルギー源 非化石エネルギー源のうち,エネルギー源として永続的に利用することができる太陽光(太陽熱を含む。),風力,水力,地熱及びバイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの)をいう。
(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)をいう。
(3) 事業 再生可能エネルギー発電設備を設置する事業(当該事業のために行われる土地の造成工事(立木の伐採,切土,盛土等を含む。)を含む。)をいう。
(4) 事業者 事業を計画し,これを実施する者(国及び地方公共団体を除く。)をいう。
(5) 事業区域 事業を行う一団の土地(再生可能エネルギー発電設備に附属する管理施設,変電施設,緩衝帯等に係る土地を含む。)の区域であって,柵,塀等の工作物の設置その他の方法により当該一団の土地以外の土地と区別された区域をいう。
(6) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(7) 行政区 大崎市行政区設置に関する規則(平成18年大崎市規則第5号)第1条第2項の別表第1に規定する区域の行政区をいう。
(8) 住民等 事業区域を含む行政区又は事業の実施により自然環境等に一定の影響がある区域(以下この号において「事業影響区域」という。)に居住する者及びこれらに所在する法人その他団体並びに事業影響区域に土地又は建築物を所有する者をいう。
(9) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。
(基本理念)
第3条 大崎市の豊かな自然環境等は,市民の長年にわたる努力により形成されてきた市民共通のかけがえのない財産であり,将来にわたってその恵沢を享受し,持続可能な未来を構築できるよう,市民の意向を踏まえて,その保全及び活用が図られなければならない。
(市の責務)
第4条 市は,前条に定める基本理念にのっとり,この条例の適切かつ円滑な運用を図らなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は,関係法令及びこの条例を遵守するとともに,大崎市の豊かな自然環境等に十分配慮し,住民等との良好な関係の保持並びに地域振興に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は,再生可能エネルギー発電設備及び事業区域の適正な管理をしなければならない。
3 事業者は,事業で発生する廃棄物を適正に処理するとともに,事業を廃止しようとするときは,速やかに,再生可能エネルギー発電設備を撤去し,及び適正に処分し,並びに事業区域に係る土地を原状に回復しなければならない。
(市民の責務)
第6条 市民は,第3条に定める基本理念にのっとり,市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。
(適用を受ける事業)
第7条 この条例の規定は,発電出力10キロワット以上の事業に適用する。ただし,太陽光を再生可能エネルギー源とする事業で,次に掲げるものについては,この限りでない。
(1) 建築物の屋根又は屋上に設置する事業
(2) 個人が自己の居住する土地及び隣接する土地に設置する発電出力50キロワット未満の事業(次条第1項に規定する抑制区域を除く。)
2 この条例の規定は,既に設置された再生可能エネルギー発電設備を増設することにより,前項に規定する発電出力以上となる事業においても適用する。
(抑制区域)
第8条 市長は,次に掲げる区域のうち特に必要があると認めるときは,規則で定めるところにより,事業者に対し事業の抑制を求めることができる区域(以下「抑制区域」という。)を指定することができる。
(1) 土砂災害又は再生可能エネルギー発電設備の設置に伴う災害が発生するおそれがある区域
(2) 豊かな自然環境及び田園環境が保たれ,地域における貴重な資源として認められる区域
(3) 特色ある景観として良好な状態が保たれている区域
(4) 歴史的又は文化的な特色を有する区域として保全する必要がある区域
(5) その他市長が必要と認める事由のある区域
2 市長は,必要があると認めるときは,前項の規定により指定された抑制区域を変更し,又はその指定を解除することができる。
3 市長は,前2項の規定により抑制区域を指定し,又はその指定を変更し,若しくは解除しようとするときは,大崎市環境基本条例(平成18年大崎市条例第188号)第25条に規定する大崎市環境審議会(第14条において「大崎市環境審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
(届出)
第9条 事業者は,第7条に規定する事業を実施しようとするときは,あらかじめ,規則で定めるところにより,当該事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を市長に届け出なければならない。
2 事業者は,前項の規定により届け出た事業計画を変更しようとするときは,速やかに,その旨を市長に届け出なければならない。ただし,事業計画の変更が規則で定める軽微なものについては,この限りでない。
3 事業者は,第1項の規定により届け出た事業計画を中止し,又は廃止しようとするときは,速やかに,その旨を市長に届け出なければならない。
3 事業者は,設置しようとする再生可能エネルギー発電設備の出力の合計が50キロワットに満たない場合には,対象住民等への戸別訪問その他適当な方法をもって対象住民等に事業計画を周知することにより,前項の説明会に代えることができる。
5 対象住民等は,規則で定めるところにより,事業者に対し,事業計画について意見を申し出ることができる。
6 事業者は,前項の規定による意見の申出があったときは,規則で定めるところにより,当該申出をした対象住民等と協議しなければならない。
7 事業者は,対象住民等の理解が得られるよう努めるものとする。
(事業の確認)
第11条 市長は,第9条の規定による届出があったときは,速やかに,現地を確認するものとする。
(報告及び立入調査)
第12条 市長は,この条例の施行に必要な限度において,事業者に対し報告若しくは資料の提出を求め,又は市の職員に事業区域に係る土地に立ち入り,当該事業に関する事項について調査させ,若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入調査をする市の職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があったときは,これを提示しなければならない。
3 第1項の規定による立入調査の権限は,これを犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(助言,指導又は勧告)
第13条 市長は,必要があると認めるときは,事業者に対して,必要な措置を講じるよう助言又は指導を行うことができる。
(2) 第9条の規定による届出をする前に事業に着手したとき。
(3) 第10条第1項の規定による事前の協議をせず,又は虚偽の協議をしたとき。
(5) 第10条第6項の規定による意見の申出をした対象住民等との協議をしなかったとき。
(6) 前条第1項の報告若しくは資料の提出をせず,若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし,又は立入調査を拒み,妨げ,若しくは忌避し,若しくは質問に答弁せず,若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(7) 事業が自然環境等に重大な影響を与えるおそれがあると認められるとき。
(8) 前各号に掲げるもののほか,市長が特に勧告する必要があると認めるとき。
(公表)
第14条 市長は,前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が,正当な理由なく当該勧告に従わないときは,当該勧告に従わない事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 市長は,前項の規定による公表をしようとするときは,あらかじめ,大崎市行政手続条例(平成18年大崎市条例第15号)第3章第3節の規定の例により,当該事業者に弁明の機会を与えなければならない。
3 市長は,第1項の規定による公表をしようとするときは,大崎市環境審議会の意見を聴かなければならない。
(委任)
第15条 この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の日前において,事業(第7条第2項に規定する事業を除く。)に着手したものについては,この条例の規定は,適用しない。
3 この条例の施行の日以後90日を経過する日までの間に事業に着手しようとする場合は,第10条第1項中「当該事業に着手しようとする日の90日前までに」とあるのは,「速やかに」と読み替えるものとする。