意見書(平成24年)
- 拙速な消費税増税に反対する意見書
- 放射性物質による環境汚染防止について、環境基本法第13条の条文を適切に見直すことを求める意見書
- TPPへ現状で参加をしないことを求める意見書
- 東日本大震災により被災した国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者に係る一部負担金の免除及び保険料(税)、介護保険被保険者に係る利用者負担の免除及び保険料の減免に要した費用を国が全額補填する特別な財政措置の継続を求める意見書
- 地球温暖化対策に関する「地方財源を確保・充実する仕組み」の構築を求める意見書
- 県の乳幼児医療費助成制度の拡充を求める意見書
- 女川原子力発電所を含む全ての原子力発電所の再稼働について安全性の確保を十分に行い慎重に対処することを求める意見書
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拙速な消費税増税に反対する意見書
2009年の総選挙で民主党は、税金の無駄遣いの根絶や「埋蔵金」の活用で「新しい財源を生み出します」とのマニフェストを掲げ、「任期中は消費税の増税はしない」と明言して政権交代を実現しました。今国会で「社会保障・税一体改革」のもとに、消費税率の引き上げ法案を提出、会期中に成立させようとしていますが、これは明白な公約違反です。
低所得者ほど負担が重く、逆進性が高い消費税の増税は、東日本大震災の被災者や日本経済が疲弊している中、さらなる消費の落ち込みをもたらし、日本経済が悪化するのは明らかです。
景気回復が進んでいた1997年に、財政再建のため消費税増税や社会保障の負担増など9兆円の国民負担増を推し進めました。その結果は内需を冷え込ませ、税収を減らしてさらに財政赤字を拡大する事態をもたらしました。このような経験を繰り返してはなりません。
社会保障や財政再建に必要な財源は国会議員の歳費縮減、公務員改革など、歳出の抜本的な見直しによって確保するべきであります。
よって、国及び政府において、消費税増税にあっては、歳出の抜本的見直しを十分に行い、拙速な消費税増税を行わないように求めるものです。
上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成24年3月1日
宮城県大崎市議会議長 三神 祐司
内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、衆議院議長、参議院議長 あて
放射性物質による環境汚染防止について、環境基本法第13条の条文を適切に見直すことを求める意見書
我が国では、悲惨な4大公害問題の発生を受けて、昭和42年に公害対策基本法が制定されましたが、地球規模の環境問題や複雑化する汚染物質の発生源の広がりに対処するため、平成5年5月にこれを発展的に廃止し、環境基本法が定められました。
その条文では、「現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献すること」や,「現在及び将来の世代の人間が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに人類の存続の基礎である環境が将来にわたって維持されるように適切に行われなければならない」との、環境保全の根本理念が述べられています。
しかしながら、同法第13条では、「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法その他関係法律で定めるところによる」と規定しており、放射性物質による大気の汚染などの防止は、環境基本法の範囲外となっております。このことは、日本の環境政策の根幹を定める基本法としての同法の適用範囲を意図的に狭め、放射能汚染問題への対処を困難にし深刻化させる原因となっています。
よって、同法第13条の規定を抜本的に見直し、放射能による環境汚染の防止についても同法の適用を受けるものとし、放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての権限と責務を明確化し、かつ、環境省の権限と責務であることを法律に明記すべきであります。
ついては、放射性物質による環境汚染防止について、環境基本法の目的や理念に基づき、世界の規範となるべく関係条項見直し、並びに関係法令の整備を早急に実施するよう、強く求めるものであります。
上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成24年3月1日
宮城県大崎市議会議長 三神 祐司
内閣総理大臣、経済産業大臣、環境大臣、衆議院議長、参議院議長 あて
TPPへ現状で参加をしないことを求める意見書
野田佳彦内閣総理大臣は、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」交渉参加表明の際に「情報収集と説明責任」、「十分な国民的議論」を尽くすと約束しました。
しかし、その後、ニュージーランド政府の公式発表で、「交渉開始に当たって各国の提案や交渉文書を極秘扱いとし、協定発行後4年間秘匿される」という合意があることが判明し、総理大臣の約束が空約束であることが明白となりました。
これまでの経過で、TPP協定においては、すべての関税の撤廃だけではなく、すべての非関税障壁の廃止が原則であり、ISD条項を含め、食の安全、国民皆保険制度や金融、雇用、公共事業、サービス分野など、あらゆる分野で日本経済の根底を揺るがす危険が生じることになります。
大崎地域の農業や経済の現状は、既に危機的な状況にあります。現状でのTPP交渉参加は、その「息の根をとめる」ともいうべきものになりかねません。
よって、現状でのTPP交渉への参加をしないことを強く求めるものであります。
上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成24年6月27日
宮城県大崎市議会議長 栗田 彰
内閣総理大臣、外務大臣、農林水産大臣、衆議院議長、参議院議長 あて
東日本大震災により被災した国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者に係る一部負担金の免除及び保険料(税)、介護保険被保険者に係る利用者負担の免除及び保険料の減免に要した費用を国が全額補填する特別な財政措置の継続を求める意見書
平成24年10月1日以降の東日本大震災により被災した国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者に係る一部負担金の免除及び保険料(税)、介護保険被保険者に係る利用者負担の免除及び保険料の減免に対する財政支援について、平成24年7月24日付で厚生労働省関係課より事務連絡が発出され、避難指示など対象地域以外の被災地域において、引き続き国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者に係る一部負担金の免除及び保険料(税)、介護保険被保険者に係る利用者負担の免除及び保険料の減免を行った場合には、既存の国の財政調整交付金により8割を補填する方針が示されたところです。
しかしながら、岩手県、宮城県、福島県の3県におきましては、特に沿岸部を中心にいまだ復興が進んでおらず、避難生活を強いられている状況にあります。
また、保険者である市町村も、東日本大震災による給付費の増により財源不足が生じて保険財政が逼迫しており、利用者負担の免除及び保険料(税)の減免の実施には、国による費用の全額を補填する特別な財政措置の継続が必要不可欠であります。
つきましては,保険者により減免の対応が異なることのないよう,次の事項について、国の支援を要望します。
記
1 東日本大震災により被災した国民健康保険及び後期高齢者医療制度の被保険者、保険者の状況を踏まえ、一部負担金の免除及び保険料(税)の減免に要した費用については、平成24年度10月1日以降も、引き続き国において、特別な財政措置を継続すること。
2 東日本大震災により被災した介護保険被保険者及び保険者の状況を踏まえ、利用者負担の免除及び保険料の減免に要した費用については、平成24年度以降も、引き続き国において、費用を国が全額補填する特別な財政措置を継続すること。
上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成24年10月1日
宮城県大崎市議会議長 栗田 彰
内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、復興大臣、衆議院議長、参議院議長 あて
地球温暖化対策に関する「地方財源を確保・充実する仕組み」の構築を求める意見書
地球温暖化防止のための温室効果ガスの削減は、我が国のみならず地球規模の重要かつ喫緊の課題となっており,森林の持つ地球環境保護,国土の保全,水資源の涵養,自然環境の保持など「森林の公益的機能」に対する国民の関心と期待は大きくなっている。
また、我が国は京都議定書において、第1約束期間である平成20年から平成24年までの間に、温室効果ガスを6%削減することが国際的に義務づけられているが、そのうち3.8%を森林吸収量により確保するとしている。
このような中、「地球温暖化対策のための税」が 平成24年10月に導入される一方、「森林吸収源対策などの地球温暖化対策に関する地方の財源確保」については、「平成24年度税制改正大綱」において、「平成25年度実施に向けた成案を得るべく更に検討を進める」とされている。
もとより、地球温暖化防止をより確実なものとするためには、森林の整備・保全などの森林吸収源対策や豊富な自然環境が生み出す再生可能エネルギーの活用などの取り組みを、山村地域の市町村が主体的・総合的に実施することが不可欠である。
しかしながら、これから市町村では、木材価格の暴落・低迷や林業従事者の高齢化、後継者不足など厳しい情勢にあり、森林吸収源対策などの地域温暖化対策に取り組むための恒久的・安定的な財源が大幅に不足している。
よって、下記事項の実現を強く求めるものである。
記
1 二酸化炭素吸収源として最も重要な機能を有する森林の整備・保全などを推進する市町村の役割を踏まえ、「地球温暖化対策のための税」の一定割合を、森林面積に応じて譲与する「地方財源を確保・充実する仕組み」を早急に構築すること。
上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成24年10月1日
宮城県大崎市議会議長 栗田 彰
内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、環境大臣、国家戦略担当大臣、衆議院議長、参議院議長 あて
県の乳幼児医療費助成制度の拡充を求める意見書
厚生労働省が発表した平成23年の合計特殊出生率は前年と同率の1.39となりました。人口を維持するのに必要な2.08への回復は依然として困難で、まさに危機的な水準を推移しています。 宮城県の 平成23年度の 合計特殊出生率は 前年の1.30から1.25と下降しています。
少子化の進行は、人口構造の高齢化や将来の生産年齢人口の減少にもつながり、子どもの健全な成長への影響のみならず、社会経済や社会保障のあり方にも重大な影響を及ぼすことが懸念されます。こうしたことから、子育て家庭の経済的負担を軽減する措置が少子化対策の重要施策となっており、乳幼児医療費助成制度は公的医療保険制度を補完する制度として全国の多くの自治体で実施され、乳幼児の健全な育成と児童福祉の向上に大きな役割を果たしています。
児童期までの年代は病気にかかりやすく、また、アトピー性皮膚炎、小児ぜんそくなど長期の療養を要する病気も増加しており、病気の早期発見と早期治療、治療の継続を確保する上で、医療費助成制度は極めて重要な役割を担っています。また、被災した子どもたちは生活環境の激変により心身ともに影響を受けており、安心して受診できる制度が必要です。
現在、宮城県の乳幼児医療費助成制度は通院が2歳まで、入院が就学前までを対象にしており、全国的に見ても最低の4県のうちの一つです。全国では、2012年10月現在、通院を就学前まで助成する県が26県、それ以上まで助成する県が12県。東京都、群馬県、鳥取県は15歳の年度末まで助成しています。
県内市町村の乳幼児または子ども医療費助成制度の状況は、自治体間で制度が異なっているため、住む地域によって助成内容に格差が生じているのが現状です。
このような地方公共団体の施策を一層充実させ、子どもを安心して産み、育てることのできる社会の実現を目指すには地方制度の安定化が必要であり、そのためには県による支援が不可欠です。被災からの復旧復興を目指すに当たり、県の乳幼児医療費助成制度の拡充は自治体の財政負担を軽減し、県政による被災地支援につながるものです。
よって、宮城県におかれましては、当面、県による乳幼児医療費助成制度の通院助成年齢を義務教育就学前まで拡充されるよう強く要望いたします。
上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成24年12月18日
宮城県大崎市議会議長 栗田 彰
宮城県知事 あて
女川原子力発電所を含む全ての原子力発電所の再稼働について安全性の確保を十分に行い慎重に対処することを求める意見書
東日本大震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所の事故は、これまでの原子力発電の安全性を大きく覆す結果となり、福島県の多くの方々は立ち入り制限区域の設定などにより避難生活を余儀なくされ、今もなお事故の収束に向けた国の具体策の対応が待たれているところであります。
全国各地の原子力発電所は、放射性物質でつくられる多くの燃料を抱えており、使用済み燃料の最終処分については、現在も国において検討中であります。これら大量の放射性物質が一たび放出される事態となれば、被害は深刻かつ広範囲に及び、将来にわたって甚大な影響をもたらします。
大崎市は女川原子力発電所から最短で40キロメートル圏内、中心部は50キロメートル圏内に位置していることから、重大事故が起こった場合は地域の存亡に関わる事態に陥る被害を受けることが想定されます。
原子力発電所稼働停止中、懸念された電力需要の逼迫問題は、国民の節電努力と大口需要家に対する電力使用制限令や水力発電、火力発電などをフル稼働することにより、どうにか乗り切ることができました。
一方、火力発電の拡大による現在の電力供給体制は多くの問題を生じさせています。これらの問題解決には、再生可能エネルギー活用を含むベストミックスエネルギー政策の策定が必要であり、それらの施策を国、地方を挙げて取り組むことにより、国民生活に必須の安定した電力供給も可能になるものと思われます。
よって、市民の生命、財産、かけがえのない故郷を守るため、女川原子力発電所を含む全ての原子力発電所の再稼働については、事故の教訓を踏まえ新たに発足した原子力規制委員会の新基準などにより、十分な安全性を確保し国民理解のもとに、国、政府の責任において慎重に判断するよう強く求めます。
上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成24年12月18日
宮城県大崎市議会議長 栗田 彰
内閣総理大臣、総務大臣、経済産業大臣、宮城県知事、衆議院議長、参議院議長 あて
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更新日:2021年09月22日