意見書(平成21年)

更新日:2021年09月22日

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自営業者の自家労賃を必要経費として認めることを求める意見書

 農業者及び中小業者(以下、自営業者)は、地域経済の担い手として日本経済全体の発展に貢献してきました。
 自営業者を支える家族従業者の働き分(自家労賃)は、所得税法第56条において、配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しないとされています。
 そして、青色申告以外については、年間で配偶者は86万円、その他の家族は50万円というわずかな額が事業主の所得から控除される専従者控除の上限とされているのですが、同じ労働に青色と白色の差をつけること自体が問題です。
 所得税法第56条は、戦前の家族制度・世帯単位課税制度の名残であり、現在の憲法と矛盾するものと思われます。
 現在、家族関係が家族を中心とする考え方から個人を重視する考え方へと変化している中で、一人一人の働き分を正当に評価するのは、人権上からしても当然であります。
 よって、政府及び国会は、疲弊している地域経済の活性化にもつながるよう、早急に自営業者の自家労賃を正当な事業経費として控除できるよう、現行の所得税法第56条を廃止し、関連する法改正を行うことを求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年3月4日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、財務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、
衆議院議長、参議院議長 あて

産業廃棄物処理問題の抜本的解決を求める意見書

 近年、産業廃棄物処理場の問題が深刻な状況になっています。これらの多くは環境の汚染、不法投棄、処理施設をめぐる紛争問題など、いずれも解決していません。
 最近では、産業廃棄物に含まれる多様な化学物質による複合汚染の危険性が指摘され、また処理業者が大量の廃棄物を残したまま廃業し、そのため浸出水による水質汚濁や硫化水素が発生していること。同時に、安定型産業廃棄物処分場については、安定5品目以外の廃棄物が混入しているため環境汚染物質が発生しています。このために各地で処分場をめぐるトラブルが頻発し、この後始末のために莫大な公費をつぎ込んでいる状況が発生しており、国民の間で廃棄物処理に対する根強い不信感が生じています。
 このままの状態が続けば、産業廃棄物処理のシステムは破綻し、取り返しのつかない環境破壊を招き、後世に重大な影響を及ぼすことになります。
 一方、一般廃棄物の処理については自治体や一部事務組合などの長年の取り組みで分別収集の定着、リサイクル化など、処分場をめぐるトラブルなどの問題は余り聞こえてきません。
 産業廃棄物処理の大きな問題点は、法による規制が有効に機能していないことにあります。産業廃棄物処分場が必要なことは言うまでもなく、全国的に不足していることから、質の高い最終処分場の建設は極めて緊急な課題であり、私たちは先人が今日まで培ってきたすばらしい環境を守り、子々孫々へ引き継ぐ義務があります。
 このかけがえのない環境を守っていくため、公が処分場の建設や管理運営に強く関与し、周辺の生活環境の保全などについて将来にわたって責任を果たすことができる処分場を整備するよう、下記について法の改正を強く求めるものであります。

1 産業廃棄物の不適正な処理を防止するため、最終処分場の監視体制など、公が強く関与すること。その際、自治体の財政負担にならないよう、国の責任において財政措置を講ずること。
2 産業廃棄物の排出者責任の原則を徹底し、排出者の処理コストの負担・処理責任を実効性のあるものにすること。
3 産業廃棄物処分場の類型を実態に合ったものに改定し、安定型産業廃棄物処分場という類型は廃止をすることとし、産業廃棄物処分場の設置基準、管理基準を改定すること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年3月4日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、厚生労働大臣、環境大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

農政改革による米生産調整の選択制並びに自給率向上に関する意見書

 農林水産省は「農業・農村の潜在力の発揮のために」を表題とする農政改革の方針を、平成21年2月3日開催の経済財政諮問会議に報告しております。
 その内容は、農政改革の目指す方向として「国民に安心を、農業者に希望を・農村に雇用とにぎわいを」とし、検討の視点を、元気な農業経営の後押し、地域を支える多様な農業の支援、国土資源の最大限の活用、農業・農村の有する潜在的な可能性を開拓するとしております。それらの改革の検討課題の中に、米生産調整の見直し手法の1つとして、生産者が生産調整への参加、不参加を自由に選び、参加者だけに所得を補償するという生産調整の選択制を提起しています。このことは実質的な生産調整廃止であり、米の過剰生産を招き、米価の下落につながることは必至で、生産現場を市場主義の荒海にさらし、大きな混乱を生じさせることとなります。
 現在でも年間866万トンの米生産量は過剰基調にあり、平成19・20年産米ともに生産者米価は生産費を賄いかねない低落状況にあります。さらに、消費量も少子高齢化の進む中で、長期的には需要減少が見通されます。このような中でさらに需給バランスを崩す可能性の高い生産調整の選択性を導入することは、必然的に米価の値下がりを招き、再生産可能な稲作経営の維持は不可能なこととなります。
 ついては、日本の農業、農村が置かれている稲作経営環境の実態にかんがみ、日本農業の持続的発展のため、下記による農政改革政策を強く求めるものであります。

1 米の過剰生産につながり、生産者価格の大幅下落が強く懸念される「米生産調整の選択性」の実施は行わないこと。そして、主食である米の需給調整について、政府は応分の責任を果たすことを明確にすること。
2 食料自給率向上対策として、価格保障、所得補償制度を確立し、大豆・麦作の自給率向上への政策充実と耕作放棄地や管理休耕、調整水田などの遊休農地解消を目指す米粉や飼料用米、ホールクロップサイレージなど、多様な取り組みへの手厚い政策支援を確立し、水田のフル活用対策を万全に推進すること。
3 国内農業を振興するため、無秩序な農産物の輸入を抑える関税など措置を強化すること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年3月4日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、内閣官房長官、
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、衆議院議長、参議院議長 あて

身近な地域で出産できる助産システムの実現と妊婦健診、出産費用の公費負担による無料化を求める意見書

 救急搬送された妊婦が多くの病院で受け入れを断られた後に死亡する痛ましい事故が、奈良や東京を初め各地で相次いで起こっています。
 全国で産科と小児科の医師、分娩を扱う病院・診療所が減り続け、拠点病院への産科の集約化が進められました。
 しかし、地域によっては、かえって産科の空白地域が広がり、妊婦が出産する病院を探すことさえ難しくなっています。
 また、集約化された拠点病院では、これまで扱ってきたハイリスク出産や治療に加えて正常出産までが集中し、NICU(新生児集中管理治療室)、MFICU(母体・胎児集中治療管理室)の病床不足、それを扱う医師やスタッフの不足が深刻化しています。厚生労働省が昨年全国の総合周産期母子医療センターで調査を行い、同省研究班はNICUが全国で1,000床足りないと報告していますが、その整備の費用は自治体にとって大きな負担です。
 一方、緊急搬送される妊婦には妊婦健診を受けていない「飛び込み出産」も多く、未受診の原因の多くが経済的理由であるとされています。妊婦健診は出産までに14回受けることが望ましいとされ、5回分は国の財政措置が地方交付税によって行われ、その運用は市町村が行っています。新年度から残り9回分について国庫補助と地方財政措置が行われることになりましたが、都道府県による基金創設など仕組みが複雑になる上、2年間の期限つきであることは納得しがたいところです。
 社会保障の最低基準を定めたILO第102号条約では、妊娠、分娩は母性医療給付の対象とされ、本人に経済的負担を課さないことを規定しています。国際社会では、妊娠、出産は母子保健サービス、医療サービスとして公費負担されています。
 出産は母体と胎児の命にかかわる問題です。安心して出産できる助産システムをつくり、妊娠、出産の費用の国庫負担など公的保障を行うよう、国会及び政府に対し、下記のことについて求めるものであります。

1 だれでもどこでも最低14回の妊婦健診が受けられるよう、健康保険の適用など公的保障を実現すること。
2 母体と胎児の命にかかわる妊娠・出産の費用は、公費負担の制度を確立し、無料化を実現すること。
3 身近な地域で出産のできる安心・安全の助産システムをつくること。そのために医師を確保し、正常な妊娠・出産、産後と育児のケアを担える助産師の専門性を生かし活用を図ること。
4 「周産期医療ネットワーク体制」(総合及び地域周産期母子医療センターなど)の充実とその情報システムの構築に向けて、自治体へ国の財政投入を行うこと。
 また、産科医師、新生児治療医師の配置を行うこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年7月9日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、厚生労働大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

義務教育費国庫負担制度を堅持し、教育予算の拡充を求める意見書

 子どもたちに豊かな教育を保障することは、社会の基盤づくりにとって極めて重要なことです。しかし、義務教育費国庫負担金の負担割合が2分の1から3分の1に縮小されたことや地方交付税削減の影響、厳しい地方財政の状況などから、自治体において教育予算を確保することは困難となっています。このまま推移すれば、各地で進められてきた少人数学級の維持拡大にも支障を来すおそれがあります。
 一方、就学援助受給者の増大にあらわれているように、低所得者層の拡大・固定化が進んでおり、家計の所得の違いが教育格差につながってきています。自治体の財政力や保護者の所得の違いによって、子どもたちが受ける「教育水準」に格差があってはなりません。
 よって、国におかれては、平成22年度の予算編成に当たり、義務教育費国庫負担率を2分の1に復元することを含め義務教育費国庫負担制度を堅持し、学校施設整備費、旅費、教材費、就学援助、奨学金、学校・通学路の安全対策費などの教育予算の充実のため、地方交付税を含む国の予算を拡充することを要望するものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年7月9日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、文部科学大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

国直轄事業負担金の廃止を求める意見書

 国の直轄事業は、法律により事業範囲を定め、国みずからが直接行う事業であり、全国的な見地から必要とされる広域的事業などであるが、その実施に当たっては、地方が国に直轄事業負担金を支出しております。
 しかし、地方が国庫補助負担金の交付を受ける場合に、国への事前説明や提出書類の作成といった膨大な事務手続が求められるのに対して、国直轄事業負担金の支出の際には、前年度に翌年度分の事業計画が通知されるようにはなったが、事前協議は行われず、その内訳明細も示されないまま地方が請求された額を支払うだけという、地方分権にもとる手続となっています。
 特に、今回、国直轄事業負担金に、国道事務所などの庁舎改修費や国家公務員の人件費、退職手当、一般旅費、さらに上級機関である地方整備局の人件費まで含まれていることが明らかになったことを契機に、国直轄事業負担金のあり方が分権の課題として大きくクローズアップされています。
 また、地方分権改革推進委員会も4月24日、「国直轄事業負担金に関する意見」において、直轄事業の縮減、透明性の確保・充実及び維持管理費負担金の廃止を打ち出しました。
 よって、国会及び政府に対し、地方の意見に真摯に耳を傾け、地方の自主性、裁量性を拡大し、分権型社会にふさわしい制度の構築に向けて、国直轄事業負担金の廃止を求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年7月9日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、国土交通大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

水環境の保全を求める意見書

 水は動植物の生命の源泉であり、環境保全に多面的機能を有しており、生物の生態系の保持、衛生上の環境保全など、人々の暮らしには不可欠な重要なものであります。国が「農地・水・環境保全向上対策事業」の施策を展開しているのもこの観点に基づくものと考えます。
 とりわけ、地方の集落における水路の水はただ単に水稲栽培の用水のみならず、園芸作物の栽培や畜産の飼養、育苗、また防火用水としての役割など、通年的に水を必要としています。
 しかし、近年水田の圃場整備事業と相まって、国営並びに県営灌漑排水事業の推進とあわせて取水施設の統合の名のもとに、旧取水施設が撤去されております。また、残っている取水施設についても、近々に撤去が予定されていますが、水路に通水されないとさまざまな支障を来すため、関係者は大騒ぎしている状況となっております。
 この取水施設の撤去は水の多面的機能を無視したものであり、国の「農地・水・環境保全向上対策事業」の施策に逆行するものと言わざるを得ません。
 よって、国に対して、水による生態系の保持、環境の保全、防火用水の確保、水稲以外の周年的農業の堅持など、水の多面的機能と、役割にかんがみ、「河川法」の見直しを図るとともに、少なくとも集落を貫流する水路については、多額の予算を投じて取水施設を閉鎖するという無駄なことをせず、自流水を有効に活用し通年的に通水されるよう強く求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年7月9日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、国土交通大臣、農林水産大臣、環境大臣、
衆議院議長、参議院議長 あて

核兵器廃絶の国際条約締結へ、政府の具体的な努力を求める意見書

 オバマ米大統領は、平成21年4月5日にプラハで行った演説で、核兵器廃絶を国家目標とすることを初めて明示するとともに、「核兵器を使用したことのある唯一の核兵器保有国として、米国は行動する道義的責任がある」と述べ、「核兵器のない世界」に向けて「一緒になって平和と進歩の声を高めなければならない」と、世界の諸国民に協力を呼びかけました。これは画期的なことであります。
 平成21年5月5日の核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員会で読み上げられたメッセージでオバマ大統領は、「核兵器のない世界の平和と安全保障の追及」を改めて訴え、「米国がNPTの約束を果たす」と表明しました。
 その後、国連安保理決議と6カ国協議の共同声明に反する北朝鮮の核実験が行われましたが、北朝鮮による核開発を断念させる上でもこうした国際的な核兵器廃絶への動きは重要です。
 米国政府からは、「私たちは、この目標に向かって具体的な前進をつくりだすために、日本政府との協力を望んでいます」という書簡も届いています。
 大崎市は、平成18年3月31日に1市6町が合併し、誕生した都市ですが、旧市町においては、それぞれ核兵器廃絶平和都市宣言や決議を行うなど核兵器の廃絶と平和を希求し、今、新市の非核平和都市宣言の策定に取り組んでいるところです。
 ついては、国に対し、被爆した世界でただ一つの国として、平成22年の核不拡散条約(NPT)再検討会議で核兵器廃絶の明確な約束が再確認、履行されるよう主導的役割を果たすとともに、核保有国を初め国際社会に対して、核兵器廃絶国際条約の締結を目指して国際交渉を開始するよう働きかけることを強く求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年7月9日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、外務大臣 あて

「核持ち込み密約」及び日米地位協定にかかわる「裁判権放棄の日米密約」の真相開示を求める意見書

 平成21年5月1日付各紙で報じられた共同通信の配信記事は、歴代事務次官が管理していたと明らかにした非核三原則をじゅうりんする「核持ち込み密約」が、平成12年の国会で、米国立公文書館から入手した密約文書の存在が問題とされたとき以来、その存在を政府は否定し続けてきております。
 これは、「核密約は存在しない」とする政府見解と大きく食い違っています。
 また、平成20年10月、日本の研究者の調査によって米国立公文書館解禁文書から、日米地位協定第17条の運用にかかわる米兵公務外犯罪の第1次裁判権の実質放棄を確認した日米密約が明らかにされました。
 これは、自国民の権利を守るべき日本の司法の責任を放棄し、国家主権にかかわる大問題です。とりわけ、米軍基地や米軍訓練の行われる自衛隊基地を抱える地方の住民にとって重大な問題です。
 このことは、米兵による犯罪が多発する原因にもなっていると考えられます。
 ついては、国に対し、こうした密約問題が国民に大きな不安を与えていることから、真相を開示することを求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年7月9日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、外務大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

ハローワーク機能の抜本的強化を求める意見書

 現下の厳しい雇用状況の中で、求職や各種助成金の申請、職業訓練の申し込みなどで、地域のハローワークの窓口は、大変な混雑を呈しており、中には、窓口で3時間、4時間待ちの状況が生じており、窓口機能が極端に低下している状況が見られます。
 また、休日・夜間の相談を求めるニーズも高くなっており、現状では対応に苦慮している実態も見られます。
 こうした状況に対応するため、今般の「経済危機対策」において、ハローワークの機能強化を図るため、人員・組織体制を抜本的に充実・強化することが決定されています。
 よって、国におかれては、下記の点に配慮の上、ハローワークの機能強化を図るよう強く要請するものであります。

1 ハローワークの職員や、相談員の増員に当たっては、単に窓口業務が集中する都市部に重点配分するだけでなく、地方のハローワークの業務の実態に応じて、適切な配分を行うこと。また、雇用調整助成金の窓口相談に当たっては、つなぎ融資の制度などについても、適切な情報提供を行うよう努めること。
2 地域の実情に応じて、夜間・休日の窓口業務の開庁を行うなど機能強化を図ること。
3 ジョブカードの推進に当たる職業訓練情報など連携推進員については、ジョブカフェなどへの重点配分を行い、若者、学生などの就職相談機能を強化すること。
4 雇用調整助成金の申請に当たっては、申請アドバイザーの機能を強化するとともに、アウトリーチ(出張相談支援)体制や必要に応じて社会保険労務士の活用を図るなどきめ細かな体制の整備を図ること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年7月9日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、総務大臣、厚生労働大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

衆議院小選挙区の区割りの見直しを求める意見書

 衆議院小選挙区の区割りについては、通常、10年ごとの大規模国勢調査の結果を受け、衆議院議員選挙区画定審議会が勧告する改定案に基づき見直すこととされており、現在の選挙区は、平成13年12月の勧告により改定されたものです。この勧告に当たっては、1票の較差が2倍以上にならないことを基本としながら、市区町村の区域については分割しないことを原則に区割りが行われましたが、平成の大合併により全国的に市町村が大きく再編され、現在、合併で新たに誕生した市町村では選挙区が分割される事例が多数生じているところであります。
 このような中、平成18年3月に合併した本市においても、旧古川市、旧鹿島台町、旧三本木町、旧松山町は宮城県第4区、旧田尻町は宮城県第5区、旧岩出山町、旧鳴子町は宮城県第6区と、3つの選挙区に分割されている状況にありますが、平成の大合併が終息を迎えつつある中、今後も選挙区が分割された状況が継続されるならば、合併後の地域住民の一体感を著しく損ない、今後のまちづくりの推進に大きな影響を及ぼすことが深く憂慮されます。
 よって、国においては、地域住民の一体感の醸成による市町村の健全な発展と地域の実情を適切に反映する選挙の実施のため、衆議院小選挙区の区割りについて、平成の大合併に伴う新たな状況に的確に対応した見直しを行うよう強く求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年10月6日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、総務大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

保険でよい歯科医療の実現を求める意見書

 歯や口腔を健康な状態に保ち、そしゃくや口腔機能を維持、回復することは健康の増進や療養、介護の日常生活の質を向上させ、国民医療費節減にも役立っていることが「8020運動」によって実証されています。
 また、多くの国民は、歯科医療について保険の適用範囲の拡大と自己負担の軽減を強く望んでいます。
 しかし、現実の歯科医療では、歯科診療報酬が抑制されているため、このような国民の要望に反して保険給付範囲が年々縮小されております。
 2008年4月改定では、歯科分野の基礎的技術評価が引き上げられたとはいえ、わずかな財源で十分な評価とはなっていない上、安価な報酬で患者を長期に継続管理していくことを歯科医療機関に求めるものとなっています。
 また、歯科医師だけでなく、歯科衛生士、歯科技工士の労働環境も一段と厳しくなり、各地の歯科衛生士や歯科技工士養成所で廃校、定員割れが起きているなど、将来の歯科医療確保さえ危ぶまれる状況に陥っています。
 このような事態を放置すれば、多くの国民の健康保持に支障を来すだけでなく、国民医療費の節減にも逆行することになりかねません。
 よって、政府に対し、歯科医療従事者が歯周病の治療管理が十分にできるとともに、よくかめる入れ歯が提供できるなど、良い歯科医療が行えるよう、また患者さんが安心して歯科受診できるよう、次の事項の実現を強く求めるものであります。

1 患者窓口負担を軽減すること。
2 良質な歯科医療が提供できるよう診療報酬を改善すること。
3 安全で普及している歯科技術を保険適用すること。

 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年10月6日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

「非核日本宣言」を求める意見書

 核兵器のない世界を実現するために、今国内外で大きな努力が求められています。
 来年4月、ニューヨークの国連本部で2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。
 2000年5月、核保有5カ国政府は「自国の核兵器の完全廃絶」を「明確な約束」として受け入れ、世界は核兵器廃絶の希望を持って新たな世紀を迎えました。しかし、今なお世界には膨大な核兵器が維持・配備されています。北朝鮮の核実験にみられるように拡散の危険も現実のものとなっています。
 アメリカのオバマ大統領が4月5日のプラハ演説で核兵器廃絶への努力を世界に呼びかけています。日本政府にはヒロシマ・ナガサキを体験した国として、核兵器の廃絶の努力を世界に呼びかけ、促進する強い義務があります。
 また、その努力を実らせるためには、みずからもあかしとして「核兵器をもたず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を遵守し、世界に範を示さなければなりません。
 よって、日本政府が、「核兵器廃絶の提唱・促進」と「非核三原則の厳守」を改めて国連総会や日本の国会など内外で宣言し、非核日本宣言として各国政府に通知し、核兵器のない世界のための共同の努力を呼びかけるよう求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年10月6日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、外務大臣 あて

高校学費無償化と給付制奨学金制度の創設を求める意見書

 日本国憲法は、国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を保障し、教育基本法は第4条ですべての国民は経済的地位によって、教育上差別されないと明記しています。
 また、国際人権規約は、「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めており、欧米のほとんどの国では高校の学費はなく、大学も多くの国で学費を徴収していません。
 しかし、日本においては高校入学から大学卒業までにかかる費用は1人平均1,000万円を超え、私立高校の授業料滞納者が全生徒の2.7%に上る深刻な状況になっており、学費を払えずに退学する生徒も少なくない現状があります。
 だれもがお金の心配なしに教育を受けられる条件を整えることは国の責任であります。
 よって、政府に対し、下記のとおりの対策をとることを強く求めるものであります。

1 公立高校の授業料を無償にすること。私立高校についても私学助成の抜本的強化などにより授業料無償を基本にすること。
2 国の奨学金を無利子にするとともに、返済の必要のない「給付制奨学金」制度を創設すること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年10月6日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、文部科学大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

日米自由貿易協定(FTA)交渉に関する意見書

 関税撤廃が原則の日米自由貿易協定(FTA)を世界最大の農産物輸出国であるアメリカと結び、安い米や麦などの輸入を受け入れることは、我が国農業と国民の食料に甚大な影響を及ぼし、食料自給率や農業関連産業・地域経済にもはかり知れない打撃を与えます。
 現在、アメリカからの日本の輸入総額のうち農林水産品が約3割を占めます。これだけ大きなウエートを占める農産物を最初から例外扱いするFTA交渉などはあり得ません。
 また、すべての貿易を対象とし10年以内に関税を撤廃するのがFTAの原則であり、仮にすべての輸入農産物の関税が撤廃された場合、関連産業を含め375万人が失業し、食料自給率は40%から12%に低下し(農水省試算)、農業、農村が崩壊することは明らかであります。農業が持つ多面的機能の喪失も考えれば、打撃は途方もないものになります。
 目指すは、食料自給の向上と食料安全保障の確保、各国の多様な農業の共存が図られる貿易ルールの確立であります。
 よって、国に対し、輸入農産物の関税撤廃に反対するとともに、日米自由貿易協定の交渉に入らないことを強く求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年10月6日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、農林水産大臣、
経済産業大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

電源立地地域対策交付金の拡充、延長などに関する意見書

 電源立地地域対策交付金の水力発電施設周辺地域交付金相当部分(水力交付金)は、水力発電施設周辺地域住民の福祉の向上と電源立地の円滑化に資することを目的に創設されたものであり、関係市町村では、この水力交付金を活用し、防火水槽や防災無線などの公共施設の整備、診療所や保育園の運営費などへの充当による住民生活の利便性向上を図っているところであります。
 しかしながら、現在の制度では、交付対象市町村の多くが、間もなく最長交付期間の30年を迎えることとなりますが、その場合、水力発電施設の円滑な運転継続や新規の電源立地に支障が生ずることが危惧されます。
 豊富な水資源に恵まれた我が国において、水力発電は、原子力発電や火力発電に比べ、環境への負荷が少なく、再生可能なエネルギーとしてこれまでの電力の安定供給に大きく寄与してきましたが、その背景には水力発電施設の建設に協力してきた関係市町村の貢献があることを十分認識すべきであります。
 よって、政府、国会において、下記事項の実現が図られるよう強く要望するものであります。

1 水力交付金は、平成22年度末をもって多くの関係市町村で交付期限を迎えるが、過去30年間にわたる交付実績や、今後とも安定的な水力発電を維持する必要性があることを考慮し、平成23年度以降は恒久的な制度とすること。
2 原子力発電施設に対する交付金との格差が大き過ぎることを考慮し、水力交付金の最高限度額及び最低保証額の引き上げなど、交付条件の改善や事務手続の簡素化を図ること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年12月21日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、衆議院議長、参議院議長 あて

改正貸金業法の早期完全施行などに関する意見書

 深刻な多重債務問題を解決するため、平成18年12月に改正貸金業法が成立し、出資法の上限金利の引き下げや、収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)などを盛り込んだ同法が、平成22年6月までに完全施行される予定となっています。
 改正貸金業法成立後、政府は多重債務者対策本部を設置し、同本部は、1.多重債務相談窓口の拡充、2.セーフティーネット貸し付けの充実、3.ヤミ金融の撲滅、4.金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定しました。
 同プログラムの策定を受けて、地方においても、行政や民間団体がともに多重債務問題に取り組み、これによって多重債務者が大幅に減少するなど、着実にその成果があらわれています。
 一方、改正法の施行後、消費者金融の契約数の減少や、資金調達が制限された中小企業の倒産という背景の中で、改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める論調が出てきています。しかし、これらは再び多重債務者の急増を招きかねず、決して許されるべきものではありません。改正貸金業法を完全に施行した上で、相談体制の拡充、セーフティーネット貸し付けの充実及びヤミ金融の撲滅などを図ることこそが必要とされる施策です。
 よって、国において、次の事項を実現するよう強く要望するものであります。

1 改正貸金業法を早期に完全施行すること。
2 自治体での多重債務相談体制の整備のため、相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること。
3 個人及び中小事業者向けのセーフティーネット貸し付けをさらに充実させること。
4 ヤミ金融を徹底的に摘発すること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成21年12月21日

宮城県大崎市議会議長 青沼智雄

内閣総理大臣、内閣府特命担当大臣(金融)
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全少子化対策男女共同参画)
衆議院議長、参議院議長 あて

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