意見書(平成20年)

更新日:2021年09月22日

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労働者派遣法の抜本改正を求める意見書

 違法行為が常態化し、不安定な働き方の典型として改善の必要性が指摘されていた「日雇い派遣」について、日雇い派遣で働く労働者の権利保護などを盛り込んだ厚生労働省の指針が平成20年1月25日の労働政策審議会の部会で了承され平成20年4月1日から施行されますが、派遣労働者が物のように扱われている不安定で低賃金のひどい状態を改善することは、日本の正常な社会発展のためにも緊急な課題となっております。
 つきましては、下記の趣旨を酌み取り、労働者派遣法を抜本的に改正されるよう強く求めるものであります。

1 労働者派遣法を派遣労働者保護法に改めて派遣労働者の権利を保護すること。
2 派遣は、臨時的・一時的業務に制限し、常用雇用型を基本として日雇い派遣は直ちに禁止すること。
3 派遣期間の上限を1年とし、これを超えたら正社員にすること。
 派遣期間を超えた場合や違法行為があった場合は、正規雇用労働者とみなす「みなし雇用」制度を確立すること。その際の雇用契約は、期間の定めのない契約とすること。
4 派遣労働者に正社員との均等待遇を実現し、年次有給休暇や社会保障などの権利を保障すること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年3月3日

宮城県大崎市議会議長 遠藤 悟

内閣総理大臣
厚生労働大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

米・畜産・農業所得・WTO対策など農業政策の確立を求める意見書

 国は、平成19年度より経営所得安定対策を導入し、担い手に対して施策を集中化し、構造改革の加速を推進することとした。
 しかし、平成19年産米の作況指数が99であるにもかかわらず、全国で35万トンの過剰米を生み、米価の大幅な下落を招くこととなった。
 このことは、生産調整に対する不公平感と限界感をもたらすとともに、稲作生産の意欲を大きく失わせる結果となった。
 また、原油価格、飼料価格の高騰が、園芸農家や畜産農家の経営を直撃しており、規模縮小や廃業が進み、農業者の高齢化が進むなど農村の経済と社会は極めて危機的な状況にある。
 今我々は、国民へ安定的に安全・安心な食料供給の継続を可能とし、農業の再生産が確保できる地域農業の基盤づくりに、一丸となって取り組んでいるところである。
 今般、米・畜産・農業所得・WTO対策など農業政策の確立を、国に対し訴えていくものである。
 以上の趣旨から、国においては、次の事項の速やかな実現を強く要望するものであります。

1 米の緊急対策に関すること。
(1) 平成19年産米の政府買い入れ、在庫積み増しによって需給調整に一定の効果をもたらしたことは多とするところであるが、さらに米需要の拡大策を講じること。
(2) 平成19年産米価の大幅な下落に対応した、収入減少影響緩和対策の追加補てんを行うこと。
2 米の計画生産の実行確保に関すること。
(1) 米の計画生産を徹底するために新しいルールの設定のもと、国、県、市町村の責任と役割を強化すること。
(2) 生産調整実施者のメリット措置として、各種交付金などの施策を集中すること。
(3) 生産調整非参加者に対する計画生産への誘導は、行政が責任を持って対策を講じること。
(4) 「米のあるべき姿」には、担い手の育成状況を見ながら慎重に対処すること。
3 原油価格、飼料価格高騰などに関すること。
(1) 原油価格高騰による園芸・畜産の農産物の価格転嫁が可能となるよう措置すること。
(2) 配合飼料価格安定制度における通常補てん基金の財源を確保すること。
(3) 国産飼料資源の安定供給に向けた支援対策を充実強化すること。
(4) BSE全頭検査を継続すること。
4 経営所得確保対策に関すること。
(1) 生産調整実施者の再生産を維持するために、新たな経営所得確保対策を講じること。
(2) 米の収入減少影響緩和対策の抜本的見直しによる万全な所得対策を講じること。
(3) 麦・大豆・園芸作物への転換促進と生産条件不利補正交付金及び産地づくり交付金などの拡充を図ること。
(4) エタノール米、飼料米など非主食米の需要開発と多収穫米の研究開発を行うとともにコストとの差の補てんを行うこと。
(5) 小規模農家も含めて生産調整に参加する農家の所得確保対策を講じること。
(6) 多様な担い手を対象とするため品目横断的経営安定対策の加入要件の緩和を図ること。
5 WTO農業交渉・日豪EPA交渉に関すること。
(1) WTOやEPA交渉においては、我が国の農業の果たす多面的機能を踏まえ、重要品目の十分な確保や一定の関税措置の維持など、適切な国境措置を堅持すること。
(2) 日豪EPA交渉においては、米、麦、牛肉、乳製品、砂糖などを初めとした我が国の重要な農畜産物を「除外」するなど、適切な取り扱いを行うこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年3月3日

宮城県大崎市議会議長 遠藤 悟

内閣総理大臣
内閣官房長官
農林水産大臣
あて

乳幼児医療費助成制度への国庫負担を求める意見書

 我が国の合計特殊出生率は年々低下し、少子化の進行は人口減少にもつながり、子どもの健全な成長への影響のみならず、社会経済や社会保障のあり方にも重大な影響を及ぼすことが懸念され、少子化対策は、日本の未来にかかわる重要かつ喫緊の課題となっている。
 こうしたことから、子育て家庭の経済負担を軽減する措置が少子化対策の重要施策となり、医療面ではすべての都道府県及び多くの自治体において、医療費の一部負担金を無料化あるいは補助する乳幼児医療費助成制度が実施されている。
 しかし、国においては、繰り返される要望にもかかわらず、この制度への国庫補助制度化に理解を示すことなく、さらに乳幼児医療費助成制度を含む福祉医療制度に現物給付方式を採用し、住民福祉の向上を目指して努力している地方自治体に対して、国民健康保険にかかわる国庫負担金のうち、医療給付費など負担金及び普通調整交付金の減額算定措置を規定し、地方自治体の財政運営上の支障となっている。これは、政府が推進する少子化対策と大きく矛盾する措置である。
 よって、国におかれては、早急に乳幼児医療費助成制度への国庫負担を行うとともに、現物給付措置を行っている自治体への国庫負担金の減額算定措置を直ちに廃止されるよう強く要望するものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年3月3日

宮城県大崎市議会議長 遠藤 悟

内閣総理大臣
厚生労働大臣
総務大臣
財務大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

地域医療を守る意見書

 少子高齢化の進展、医療ニーズの多様化など我が国の医療を取り巻く環境は大きく変化し、地域や診療科における医師の不足及び偏在や看護師を初めとした医療スタッフの不足の解消は大きな課題となっており、地域医療サービスをめぐっては、「医療過疎」や「医療の貧困」とも言える状況に全国で直面しています。しかしながら、政府と経済財政諮問会議などは、急速な少子高齢化の中で増大せざるを得ない医療サービスや医療保険財政を、歳出抑制によって乗り切ろうとしております。昨年末には、公立病院改革ガイドラインが出され、僻地医療、周産期医療、高度先進医療、救急医療など採算性のとれない医療サービス、いわゆる政策医療を支えてきた公立病院の存続が危ぶまれています。
 地域医療は、住民の生命、健康に直結する不可欠なライフラインの公共サービスであり、国民が安心と信頼の上に地域医療にアクセスできる医療提供体制を確保することは、国の責務であります。
 このため、全国民が安心で信頼のできる医療を地域で受けられるための政策及び財政措置を講ずることを目指し、国に対し次のとおり求めるものであります。

1 崩壊の危機に直面している地域医療を守る医療財源の確保を確実に図ること。
2 地域医療を担う医師、看護師などの確保と養成のための支援体制を強化すること。
3 「公立病院改革プラン」の策定に当たっては、地域住民が安心して身近に受けられる地域医療の確保の観点から、住民、利用者、医療関係従事者の意見を十分に踏まえて策定、実施すること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
厚生労働大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

「嫡出推定」に関する民法改正と救済対象の拡大を求める意見書

 「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」という嫡出推定を規定した民法772条第2項は、1898年(明治31年)当時、父親の子への責任放棄をさせないため、「早期の身分保障」、「子の福祉」の観点から設けられたものです。
 しかしながら、施行より110年余りが経過し、規定の趣旨とその実態との間に乖離が生じ、出生の届け出が行われず無戸籍となり、不利益をこうむっている子どもの存在が明らかになっています。
 法務省は、2007年5月、無戸籍児の救済のため、離婚後の妊娠が医師の証明書で確認できれば「現父の子」としての出生届を認める通達を出した。しかし、家庭内暴力のため離婚手続がおくれる例など、離婚前の妊娠でも社会通念上やむを得ないケースが存在するため、通達による救済の対象となるのは、法務省の推定では1割にとどまると言われています。
 家族関係についての意識も変化し、離婚、再婚の増加など、明治時代には予想もしなかった社会変化が生じているとともに、親子関係が科学的に立証可能である今日、離婚前の妊娠を一律に「前夫を父親」とする法規定は、今や不合理なものとなっています。
 1994年に日本が批准承認している「児童の権利に関する条約」第7条は、「児童は出生後直ちに登録され、氏名を有し、国籍を持つ権利を保障される」としています。
 よって、国に対し、子どもの人権と福祉を最優先に、戸籍が事実と異なる記載とならないよう、下記のとおり求めるものであります。

1 民法第772条の嫡出推定に関しての見直し、関係する子の氏を定める戸籍法や婚姻に関する法律との整合性を図ることなども含め現実に即した法改正を行うこと。
2 法改正までの間、通達による救済の範囲を広げること。また、親子(父子)関係不存在、嫡出否認などの家事調停、審判の手続の簡略化など運用面でのさらなる見直しを行うこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
厚生労働大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

障害者自立支援法の抜本的な改正を求める意見書

 2006年4月から施行された障害者自立支援法により、法施行から1年もたたずに、特別対策が必要となる事態に追い込まれ、さらに2年もたたずに、特別対策の継続と上乗せが必要となる事態は、障害者自立支援法そのものの制度設計に無理があり、抜本的な改正を免れないということであります。特に、障がい者施設や居宅支援の利用に係る応益負担(定率1割)の導入は、障がい者の生活を直撃し、施設からの退所、サービス利用の制限などの形で、生活水準の低下を引き起こしております。また、サービス事業所も、報酬単価の引き下げや日払い化によって、経営難に陥り、職員の賃下げや非常勤化、離職、閉鎖など、福祉サービスの低下や縮小が深刻化しています。
 政府は、障害者自立支援法に関連し、2008年度までの特別対策として、利用者負担の軽減措置や事業者への激変緩和措置を行い、さらにこの特別対策を2009年度以降も継続し、障がい児のいる世帯への軽減策などを上乗せするとしております。これらについては、一定の評価をするものの、緊急避難的な処置にすぎません。
 2006年12月、国連総会で「障がい者の権利条約」が全会一致で採択され、2007年9月、日本は同条約に署名を行っています。世界の潮流にかんがみ、真に障がい者に対する差別を撤廃し、障がい者の自立と社会参加を求める立場から、下記の処置を講ずるよう強く求めるものであります。

1 法施行による障がい当事者、家族、事業者、地方自治体への影響調査を早急に行い、同法を抜本的に見直すこと。
2 利用者負担は応益(定率)負担ではなく、負担できる能力に応じた応能負担を原則とすること。また、利用料の算定に当たっては、本人の収入のみに着目すること。
3 自立支援医療の実施により、公費負担を受けられる対象が大幅に制限され、患者、家族の負担が急増している。障がい者、障がい児が安心して医療を受けられるよう、同法からの支援医療を切り離し、従来の精神通院医療、育成医療、更生医療に戻すこと。
4 障がい者程度区分の認定については、知的障がい者や精神障がい者の判定が、実際の障がい程度より軽くなるなど、生活の実態を反映することは非常に難しいことが指摘されている。介護保険制度に準じた判定基準を当てはめるのではなく、障がい者当事者の個々の生活ニーズに基づく支給決定の仕組みにすること。
5 地域生活支援事業(相談事業、移動支援など)は、国の裁量的経費であり、補助金によって事業内容が制限されるので,自治体の積極的な取り組みが可能となるよう、地域生活支援事業の予算を大幅に増額すること。また、移動支援は国の義務的経費とし、障がい者の社会参加を保障すること。
6 指定障がい福祉サービス事業者などに対する報酬を月割り制へ戻し、おおむね障がい者自立支援法施行以前の収入を保障すること。
7 授産施設など就労支援施設に係る利用料負担、障がい乳幼児の療育に関する応益負担については、障がい者の就労保障、子ども福祉を最優先させるという観点から応益負担をやめて、公的責任による施策に戻すこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
厚生労働大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

福祉人材確保及び老人福祉施設などの整備に関する意見書

 他業種より低い介護職員の給与は、2度にわたる介護報酬の減額によりさらに低下し、全般的な雇用情勢好転もあり、福祉系の大学、専門学校の卒業生が他業種に就職する傾向が強まり、介護・福祉現場での介護職員の採用、補充が難しく、離職率も高どまりし、施設の開設、増設のおくれも出ており、介護サービスの提供体制の確立や事業運営に支障を来たす危機的状況にあります。
 さらには、入所者の重度化、医療ニーズの増大に対応する基準を超える職員配置の取り組みもあり、人材調達の困難性は事業者努力の限界を超えており、この事態が続けば、サービス低下を招き、介護保険制度を持続させる可能性の劣化も懸念されるところであります。
 また、特別養護老人ホーム、特定施設、グループホームなどでの個室、ユニット型を基本とする国の一律の設置基準は、重度化する入所者へのサービス低下や事故のリスクを高め、さらには多床室に比べ増加する投資・運営コストは事業収支の悪化や利用者負担増を招き、地域や介護現場での自主的な改善の取り組みの障壁となっています。
 この一律の設置基準は、社会福祉法人では、施設の建てかえ、増床での自己資金の増加を招き、長期的な経営方針の策定を困難としており、民間介護サービス事業者では、資本市場を通じての投資財源の調達に支障が出るなど、国民が期待する良質かつ安価な施設サービスの基盤整備の妨げとなっています。
 よって、国において、介護現場の実態を十分に把握され、持続可能な介護保険制度とするよう、下記事項の措置が迅速に講じられるよう強く要望するものであります。

1 福祉人材確保
 他の産業と比較して、著しく低い介護職員などの賃金水準を引き上げ、さらには介護現場の実態を考慮した人員配置基準の改善を行うため、介護報酬を適正な水準に引き上げること。
2 老人福祉施設などの設置基準の見直しによる施設整備の促進
 特別養護老人ホーム、特定施設、グループホームなどについての個室、ユニット型を基本とする全国一律の設置基準を早期に見直して、自治体の裁量にゆだねることにより、一層の地方分権改革、規制改革を進め、社会福祉法人や介護サービス事業者による良質かつ安価な施設サービスの基盤整備が促進されるよう、適切な措置を講じること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
厚生労働大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

一級河川の権限移譲に関する意見書

 治水事業は、国土を保全し、災害から国民の生命と財産を守り、安全で安心な生活環境を実現するために、最優先で実施されるべき根幹的な重要事業であります。
 特に、近年は、地球規模での気候変動に伴う予測を超える豪雨によって、各地に大規模な災害が発生し、国民の生活基盤に甚大な被害をもたらしています。
 大崎市は、一級河川鳴瀬川、江合川、吉田川、多田川、出来川の5川が地域を横断し、その水の恵みは市民生活と農業を初めとする産業の基盤となっていますが、昭和61年の8.5豪雨による吉田川はんらん洪水災害を初め、平成14年7月、平成17年9月の台風豪雨災害など、常に水害の危険にさらされています。
 さらに、平成15年の宮城北部連続地震災害復旧による鳴瀬川中流部緊急対策特定区間事業の進捗促進など、国直轄による河川整備と水害予防は市民の共通する願いであります。
 このような中で、今般、地方分権改革推進委員会が答申した、「一つの都道府県内で完結する一級水系内の一級河川の直轄区間については、従前と同様の管理水準を維持するため財源などに関して必要な措置を講じた上で、一級河川の位置づけを変えずに、原則として都道府県に移管する」とする考えは、河川の性状を把握した総合的な治水対策や早期の情報発信、緊急時の災害防備対策、復旧対策などの的確な河川管理遂行に疑問が残るところであります。
 特に、一級河川鳴瀬川、江合川、吉田川の3川は、岩手、宮城の2県にまたがる北上川水系であり、江合川は旧北上川と合流して石巻湾に注ぎ、洪水時には、新江合川を経由して鳴瀬川に流入水を受けること、また鳴瀬川と吉田川は河口で合流するなど4川がリンケージして役割を分担するという独特な河川であり、国の責任で一層の整備促進を図り、その安全を確保することは、基本的な責務であると言えます。
 本来、治水事業は、国土の保全や地域住民の生命や財産を守るための最も根幹的な事業であり、住民が安全で安心できる生活の確保や快適な河川環境を保全していくためにも、国が長期的な視点に立ち施設の整備を初めとする治水対策を検討、実施していくことが必要であると考えます。
 よって、現在、論議されております国と地方の役割分担の見直しに当たっては、これまで同様、国の仕事として適切な管理がなされるよう強く要望するものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣
衆議院議長
あて

国による公的森林整備の推進と国有林野事業の健全化を求める意見書

 近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中でグローバル化する森林の役割に対する要請が高まるなど、環境資源としての森林に対し強い期待が寄せられる一方、林業を取り巻く厳しい状況の中で、森林経営は脆弱化し、その担い手である山村は崩壊の危機に直面しています。
 このような中、水源林など公益森林の整備に対しては、今後、国などの公的機関の役割がますます重要となってきており、また山村については、昨今、過疎化、高齢化が進み、その活力が低下する中で、林業生産活動の活性化を通じてその再生を図ることが、地域政策上極めて重要となっています。
 このような時期に、国有林野事業は、いわゆる「行政改革推進法(平成18年6月)」に基づき、業務・組織の見直しが予定されており、また旧独立行政法人緑資源機構は「独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月)」に基づき、平成19年度末で解散し、水源林造成事業などは独立行政法人森林総合研究所に継承させるなどの措置が講じられたところです。
 今後の林政の展開に当たっては、森林吸収源対策の推進はもとより、特に国有林野事業などにおいて安全で安心できる国民の暮らしを守るために、重要な役割を果たす水源林など公益森林の整備、さらには地域林業、木材産業の振興を通じた山村の活性化に十分に寄与できるよう、下記事項の実現を強く要請するものであります。

1 森林吸収源対策を着実に推進するための環境税など税制上の措置を含めた安定的な財源を確保するとともに、林業、木材産業の振興施策の推進と森林所有者の負担軽減措置による森林経営意欲の創出。
2 緑の雇用対策など森林、林業担い手対策の拡充、施業の集約化、路網の整備、機械化の推進などによる効率的、安定的な木材供給体制の確保、さらには木材のバイオマス利用の促進などにより、間伐材を含む地域材の需要拡大対策の推進による地域林業・木材産業の振興。
3 水源林造成事業を含めた公的森林整備を計画的に推進するための組織体制の確保及び施業放棄地など民間による森林整備が困難な地域における国の関与による森林整備制度の創設。
4 国有林野事業については、国民共有の財産である国有林を適正に管理するとともに、公益的機能の一層の発揮を図るため、国による管理運営体制の堅持及びその管理運営を通じて地域における森林・林業担い手の育成と地域活性化への寄与。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
環境大臣
林野庁長官
衆議院議長
参議院議長
あて

地方財政の充実強化を求める意見書

 地方分権の推進、少子高齢化の進行、産業・雇用対策、地球規模や地域レベルの環境保全需要、災害、事故に対する安全対策など、地域の行政需要が増大しており、地方自治体が果たす役割はますます重要になっています。
 一方、2008年度に創設された地方法人事業税の国税化と都市部の税収を活用した「地方再生対策費」は格差是正策としては不十分であり、地方分権に逆行する措置です。さらに、過去の景気対策と地方交付税の大幅圧縮により自治体財政硬直化を招いた国の財政責任は極めて重いにもかかわらず、自治体財政健全化法のもとで地域、自治体に財政責任を押しつけ、医療、福祉、環境、ライフラインなど住民生活に直結する公共サービスを削減することは容認できません。
 このため、2009年度予算は深刻化する地域間格差の是正と公共サービスの充実に向け、地方財政圧縮を進める政策の転換を図り、地方税の充実強化、国が果たす財源保障に必要な財源を確保することが重要です。さらに、住民に身近なところで政策や税金の使途を決定し、地方分権の理念に沿った自治体運営を行うことができるよう、地方財政の充実強化を目指し、国に対し、下記のとおり求めるものであります。

1 医療、福祉、環境、ライフラインなど地域の公共サービス水準の確保と地方分権推進に向けて、国、地方の税収配分5対5を実現する税源移譲、地方交付税機能の強化により、地方財源の充実強化を図ること。
2 自治体間の財政力格差は、地方間の財政調整によることなく、地方交付税の財源保障機能、財政調整機能の強化により、是正を図ること。
3 地方自治体の意見を十分に踏まえた対処を行うこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
経済産業大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣
(経済財政政策)
衆議院議長
参議院議長
あて

原油穀物価格高騰によって危機的状況にある地域農業の確立と食料自給率向上対策を求める意見書

 日本の食料自給率は39%、穀物自給率は27%という世界でも異常な水準まで低下しています。それに追い打ちをかけるように、原油価格の高騰により燃料、生産資材、飼料価格がはね上がり、農業経営は立ち行かない状況であり、さらに米価格は低迷が続き、深刻な影響を与えています。
 今、世界規模で食料不足、食料高騰という危機的な事態が進行しています。世界食糧計画(WFP)は、30カ国が食料危機となり、うち23カ国が「深刻な情勢」と警告を発しています。
 そのような中で、食料を海外に過度に依存することは、日本の農業の多面的機能の発揮を低下させ、ひいては国土の荒廃、環境悪化につながるおそれがあります。
 今、我々は、国民への安定的に安全・安心な食料供給の継続を可能とし、農業の再生産が確保できる地域農業の基盤づくりに一丸となって取り組まなければなりません。
 よって、下記事項の政策の速やかな実現を強く要望するものであります。

1 原油価格の高騰により、農業経営は立ち行かない危機的状況であり、極めて憂慮すべき事態である。そのため、農産物の価格転嫁が可能となるよう措置すること。
2 価格補償、所得補償など、農業経営を守り、国を挙げて自給率向上対策を講ずること。
3 飼料米の生産を国家戦略として位置づけ、自給飼料の生産基盤強化や補助金の拡大対策を講じること。
4 畜産農家の安定経営のための配合飼料安定制度を維持する財源確保を講じること。
5 国内の食料供給力を強化するため、100%自給できる米を米粉としてパンやめんの原料とするなど、米粉用米としても位置づけること。
6 担い手に対する経営支援策として、積極的な経営に必要な資金などの融資制度や機械、施設のリース制度の拡充を講じること。
7 農産物輸出の積極展開をするための支援の強化策を講じること。
8 食料農産物などの国際情勢の変化にかんがみ、WTOルールのあり方を再構築すること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
農林水産大臣
内閣官房長官
衆議院議長
あて
参議院議長

地方分権改革における地方農政局などの見直しに関する意見書

 我が国の食料、農業は、食料自給率の低下や輸入農産物を初めとする食料品の安全性への信頼低下など多くの課題を抱えており、国民の間には安全・安心な国内産の食料品、農産物への期待が高まるとともに、それを支える国内農業の体制強化を進める政策に大きな関心が寄せられています。
 宮城県北西部に位置する大崎地域は、北上川水系江合川及び鳴瀬川沿いに開かれた大崎耕土と呼ばれる約2万ヘクタールの農地を有し、ササニシキ、ひとめぼれの生産地として、我が国有数の穀倉地帯を形成しています。現在、国営事業による大規模な農業水利施設の整備や、県営事業による農業用水の確保と農地整備を行い、農業生産基盤の確立を進めています。これにより、食料自給率の向上及び国民の需要にこたえるべく、多様で安全・安心な農産物の生産を目指すとともに、農村地域の活性化を図るため地域においてさまざまな取り組みを行うことで、近年の米価低迷や転作などに対応し、稲作のほか麦、大豆、野菜などを組み合わせた収益性の高い農業経営の展開を図ることとしています。
 このような取り組みを推進するためには、引き続き地方農政局を初めとする国の出先機関による地域の課題を踏まえた対応と支援が行われることが、極めて重要であります。また、整備された農業水利施設は、将来にわたる適切な維持管理や計画的な更新などが必要であり、今後も国が責任を持って対応していくべきであります。しかし、現在、政府の地方分権改革推進委員会において、地方農政局及び現地の国営事業所などの地方機関を廃止し、都道府県に権限を移譲するなどの議論が行われていることは、農業を基幹産業とする当市にあっては、農業政策の展開に影を落とし、国民の切望する安全・安心な国内産の食料品、農産物の生産低下を招くことにもなりかねません。
 よって、下記の事項の実現について強く要望するものであります。

1 我が国の食料・農業・農村政策などの推進に当たり、引き続き地方農政局を初めとする国の機関及び現地の国営事業関連事務所の存続を図り、国の責任を果たすこと。
2 食料の安定供給などに重要な役割を果たす基幹的な農業水利施設の整備や管理についても、国が直轄事業を通じて引き続きその責務を果たすこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年7月1日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
農林水産大臣
内閣官房長官
衆議院議長
参議院議長
あて

新たな過疎対策法の制定に関する意見書

 過疎地域の活性化については、昭和45年に「過疎地域対策緊急措置法」制定以来、昭和55年の「過疎地域振興特別措置法」、平成2年の「過疎地域活性化特別措置法」と3次にわたる特別措置法の制定により、総合的な過疎対策事業が実施され、過疎地域における生活環境の整備や産業の振興など一定の成果を上げております。
 しかしながら、人口減少と高齢化は特に過疎地域において顕著であり、路線バスなど公共交通機関の減少、医師及び看護師などの不足、耕作放棄地の増加、地球温暖化の防止に貢献する森林の荒廃など、生活・生産基盤の弱体化が進む中で、消滅の危機に瀕する集落があらわれるなど、過疎地域は極めて深刻な状況に直面しております。また、本市のように過疎地域と非過疎地域が合併した市町村では、社会資本整備の格差がいまだ存在するなどの課題も生じています。
 過疎地域の人口は、我が国の人口の約8%にすぎないが、面積は国土の半分以上を占めております。我が国にとって豊かな自然や歴史、文化を有するふるさとの地域であり、また都市に対して食料や水資源を供給し、自然環境の保全といやしの場を提供するなどの多面的、公共的機能を担っております。
 過疎地域は国民共通の財産であり、国民の心のよりどころとなる美しい国土と豊かな環境を未来の世代に引き継ぐ努力をしている地域であります。
 現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は、平成22年3月末をもって失効することになりますが、過疎地域が果たしている多面的、公共的機能を今後も維持していくためには、引き続き過疎地域の振興を図り、そこに暮らす人々の生活を支えていくことが重要であります。
 過疎地域のナショナルミニマムをどう実現していくのか、そこに住む住民が安心・安全に暮らし続けられる地域として健全に維持されることは、同時に都市をも含めた国民全体の安心・安全な生活に寄与するものであることから、引き続き総合的な過疎対策を充実強化させることが必要であります。
 よって、国に対し、現行の制度を十分に考慮し、新たな過疎対策法の制定を強く要望するものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年10月8日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
あて

地方消費者行政の抜本的拡充に必要な法制度の整備及び財政措置を政府などに求める意見書

 近年、輸入冷凍ギョーザへの毒物混入事件、コンニャクゼリーによる窒息死事故や一連の食品偽装表示事件、ガス湯沸かし器一酸化炭素中毒事故、シュレッダーによる指切断事故、英会話教室NOVA事件など、多くの分野での消費者被害が次々と発生ないし顕在化しました。多重債務、クレジット、投資詐欺商法、架空請求、振り込め詐欺などの被害も後を絶たない状況にあります。
 消費生活センターなど地方自治体の消費生活相談窓口は、消費者にとって身近で頼りになる被害救済手段であって、消費者被害相談の多くは全国の消費生活センターに寄せられており、その件数は、1995(平成7)年度が約27万件であったものが、2006(平成18)年度には約110万件に達し、95年に比べ約4倍に増大しております。
 しかるに、自治体の地方消費者行政予算は、ピーク時の平成7年度には全国(都道府県・政令指定都市・市区町村合計)200億円(うち、都道府県127億円)だったものが、平成19年度は全国108億円(うち、都道府県46億円)に落ち込むなど大幅に削減されております。そのため、地方消費者行政が疲弊し、十分な相談体制がとれない、あっせん率低下、被害救済委員会が機能していない、被害情報集約による事業者規制権限の行使や被害予防などの制度改善機能、消費者啓発も十分行えないなど、機能不全に陥っている実態が明らかとなりました。
 政府は、消費者・生活者重視への政策転換、消費者行政の一元化・強化の方針を打ち出し、「消費者庁の設置」などの政策を検討しているが、真に消費者利益が守られるためには、地方消費者行政の充実強化が不可欠であります。政府の消費者行政推進会議の最終取りまとめにおいても、強い権限を持った消費者庁を創設するとともに、これを実行あらしめるため、地方消費者行政を飛躍的に充実させることが必要であること、国において相当の財源確保に努めるべきことなどを提言しております。
 よって、国に対し、消費者主役の消費者行政を実現するため、下記のような施策ないし措置を講じるよう強く要望するものであります。

1 消費者の苦情相談が地方自治体の消費生活相談窓口で適切に助言、あっせんなどにより解決されるよう、消費生活センターの権限を法的に位置づけるとともに、消費者被害情報の集約体制を強化し、国と地方のネットワークを構築することなど、必要な法制度の整備をすること。
2 地方消費者行政の体制・人員・予算を抜本的に拡充強化するための財政措置をとること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年10月8日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣
消費者行政推進担当
衆議院議長
参議院議長
あて

地デジ放送の受信対策の推進を求める意見書

 地上波デジタルテレビジョン放送は、既に一昨年、全都道府県、全放送事業者の親局において放送が開始され、政府においても「デジタル放送推進のための行動計画(第8次)を策定、アナログ放送終了期限の2011年7月までの最終段階の取り組みが行われているところであります。
7次にわたる関係者の行動計画により、普及計画の目標に沿って進んでいるものの、残された期間においては放送事業者側及び視聴者側ともに多くの課題が指摘されております。
また、僻地や都市部の難視聴地域、電波障害のある地域での共聴受信施設のデジタル化改修もおくれており、今後3年間でデジタルテレビ放送の受信に未対応の世帯も含め、完全移行のため、普及世帯や普及台数を確保することは難事業と考えられます。
とりわけ、デジタル放送への移行に伴う視聴者の負担問題については、経済的弱者への支援策が求められており、また視聴者のデジタル受信器購入やアンテナ工事、共聴施設の改修など具体的行動について理解を深め、支援する方策が求められております。
よって、国におかれましては、平成20年度予算案に計上された地上デジタル放送関係予算の着実な執行とあわせ、次の事項についての取り組みを推進されるよう強く要望するものであります。

1 視聴者側の受信環境整備に伴う負担軽減のための方策を強力に進めること。また、経済的弱者への支援策について、早急に内容を検討、決定すること。
2 今後、地デジ放送に関する相談が飛躍的に増加することが見込まれるため、「地域相談・対策センター」を県単位に整備し、地域住民の実態に即したきめ細やかなサービス体制を整備すること。
3 デジタル中継局整備や辺地共聴施設整備などについて、地方自治体の過度の負担とならないよう、放送事業者などとの調整を図るとともに、自治体負担の一層の軽減を図るため、支援策を拡充すること。
4 都市受信障害については、各地域の実情を把握の上、良好な受信環境の整備を図り、情報格差が生じないように努めること。
5 地デジ放送に便乗した悪質商法による被害が発生しないよう、国民生活センターを初め地方自治体の消費生活センターとも連携を図り、地デジ放送に対する広報啓発活動をすること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年10月8日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
内閣官房長官
衆議院議長
参議院議長
あて

投機マネーの規制を求める意見書

 アメリカの低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)の破綻が、先進国の金融市場を揺るがせております。このローンをもとにした金融商品が「最先端」の証券に仕立て上げられ、欧米や日本などの金融機関に拡散していたからであります。
 金融市場からあふれ出した投機資本は、原油市場だけでなく穀物市場にも流入し、食料品まで値上げの波が押し寄せて生活を直撃しております。巨額の投機資金が食料とエネルギーという人間の生存基盤さえ左右するような社会は、まともな社会ではありません。投機マネーの暴走を抑えることは、暮らしを守り、経済を安定させるための国際的な緊急課題となっております。
 現在の金融危機を克服するには、ヘッジファンドへの厳重な規制とその背後にいる国際的大金融機関への投機取引規制が必要であります。
 よって、本議会は、国会及び政府に対し、投機規制を求める国際世論に呼応し、日本政府が積極的な役割を果たすよう強く要望するものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年10月8日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
外務大臣
財務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
内閣官房長官
衆議院議長
参議院議長
あて

「協同労働の協同組合法(仮称)」の速やかな制定を求める意見書

 日本社会における労働環境の大きな変化の波は、働くことに困難を抱える人々を増大させ、社会問題となっています。また、2000年以降の急速な構造改革により、経済や雇用、産業や地方など、さまざまな分野に格差を生じさせました。
 働く機会が得られないことで、「ワーキングプア」、「ネットカフェ難民」、「偽装請負」など、新たな貧困と労働の商品化が広がっています。また、障害を抱える人々や社会とのつながりがつくれない若者など、働きたくても働けない人々の増大は、日本全体を覆う共通した地域課題であります。
 一方、NPOや協同組合、ボランティア団体などさまざまな非営利団体は、地域の課題を地域住民みずから解決することを目指し事業展開しています。この1つである「協同労働の協同組合」は、「働くこと」を通じて、「人と人のつながりを取り戻し、コミュニティーの再生を目指す」活動を続けており、上記の社会問題解決の手段の1つとして、大変注目を集めております。
 しかし、現在この「協同労働の協同組合」には法的根拠がないため、社会的理解が不十分であり、団体として入札、契約ができない、社会保障の負担が働く個人に係るなどの問題があります。
 既に欧米では、労働者協同組合(ワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブ)についての法制度が整備されています。日本でも「協同労働の協同組合」の法制度を求める取り組みが広がり、1万を超える団体がこの法制度化に賛同し、また国会でも超党派の議員連盟が立ち上がるなど、法制化の検討が始まりました。
 雇用・労働の問題と地域活性化の問題は不離一体です。だれもが「希望と誇りを持って働く」、仕事を通じて「安心と豊かさを実感できるコミュニティーをつくる」、「人とのつながりや社会とのつながりを感じる」、こうした働き方を目指す協同労働の協同組合は、市民事業による市民主体のまちづくりを創造するものであり、働くこと・生きることに困難を抱える人々自身が、社会連帯の中で仕事を起こし、社会に参加する道を開くものです。
 よって、国においても、社会の実情を踏まえ、課題解決の有力な制度として、「協同労働の協同組合法」の速やかなる制定を求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年10月8日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

安全な国産農畜産物増産・食料自給率向上に関する意見書

 世界的な穀物需給は構造的な逼迫に急転換したことから、穀物価格は史上最高水準まで高騰しており、我が国の食料の安定供給に重大な支障が生じています。また、原油、肥料、飼料など生産資材価格も同様に高騰しており、農業者の経営は危機的状況となっております。
 このような状況にもかかわらず、我が国の食料自給率は40%まで低下しており、国は、食料安全保障の観点から、国産農畜産物の増産と食料自給率の向上に向けた取り組みを国家戦略として位置づけ、総合的な施策と十分な予算を確保する必要があります。さらに、健康被害が明らかな事故米が食用として多方面への流通実態が発覚したことは極めて遺憾であり、長年生産調整に取り組んできた農業者を初め国民が受けた食への不安と不信ははかり知れないものがあります。非食用とはいえ、業者を介し流通させた農林水産省農政事務所の判断責任は重大です。
 そこで、国は、省を超えたレベルで必要な財源を確保し、補正予算対策も含めた万全な対策を緊急に措置する必要があります。
 よって、国会及び政府に対して、下記事項を強く要望するものであります。

1原油・肥料・飼料など農業生産資材高騰に関する緊急対策について
(1) 燃油使用量を削減するため、ヒートポンプや多重カーテンなど省エネルギー設備・施設整備対策を充実強化すること。
(2) 肥料流通の合理化を進めるとともに、土壌分析に基づく低成分肥料の活用や施肥効率の向上などの取り組みを支援する対策を講ずること。
(3) 穀物価格などの上昇により、配合飼料価格が6月の追加対策時の想定を超える場合には、経営安定に向けた追加対策を講ずること。
2 食料自給率向上対策について
(1) 国内の農業資源を最大限に活用し、生産調整の実効確保を基本に、自給率の低い麦、大豆や飼料用米、米粉用米などの自給率向上作物を増産させる仕組みを確立すること。
(2) 新規需要米などの需要開発や生産から流通、加工、販売の連携を図り、確実に流通、消費される体制に向け、必要な支援対策を措置すること。
3 飼料価格高騰に耐えられる畜産・酪農の体質強化対策について
(1) 畜産生産基盤を維持、拡大させるため、畜種ごとに生産コストに着目した抜本的な畜種別経営安定対策を措置すること。
(2) 輸入飼料への依存度を低減するため、水田や草地など国内における農地を最大限活用した自給飼料の増産を推進すること。
4 循環型農業への転換対策について
(1) 肥料流通の合理化を進めるとともに、耕畜連携のさらなる促進に向けた堆肥流通や散布などへの支援対策を充実強化すること。
(2) 循環型農業に取り組む農業者に対する支援対策を充実強化し、あわせて生産性向上や技術開発の加速、流通コストの低減対策を強化すること。
5 ミニマムアクセス米(事故米)などの不正規流通発生に関し、政府の猛省と再発防止を求め、次の対応を求める。
(1) 事故米不正規流通を見逃した農政事務所体制の徹底検証と、農林水産省所管体制の改善強化を図ること。
(2) 2003年以降2008年までの事故米約7,400トン全量の流通実態の解明と公表をすること。
(3) 非食用米の厳正な在庫管理及び末端までの取引業者名と数量、売却単価の報告と公表を義務づけること。
(4) 外米を原料とする輸入加工品についても、徹底した検査を義務づけ、食の安全を図ること。
(5) 事故米は、直ちに輸出国へ返送し、経費の弁済補償を求めるなど、輸出国責任及び仲介商社責任を明確化すること。
(6) 不正規流通ルートの徹底解明と不正規販売業者には、社名公表と厳罰をもって対処すること。
(7) 米の取り扱い業者を2004年の規制緩和による「届出制」から「許可制」に戻すこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年10月8日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
外務大臣
財務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
内閣官房長官
衆議院議長
参議院議長
あて

後期高齢者医療制度の抜本的な見直しを求める意見書

 平成18年6月の「健康保険法などの一部を改正する法律」が公布され、75歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度が、平成20年4月1日から実施されました。
 この制度は、75歳以上の高齢者と65歳以上75歳未満の一定の障害のある人を対象に高齢者の医療費を社会全体で支える新たな公的医療保険制度として創設され、都道府県ごとにすべての市町村が加入して設置した広域連合で運営を行っています。
 この制度の導入に当たっては、法施行直前に一定の激変緩和措置が設けられたものの、高齢者に新たな負担が生じることや低所得者への配慮不足といった問題が指摘されたため、平成20年6月に低所得者への保険料軽減対策が打ち出されたところです。
 しかしながら、保険料軽減対策をとっても国民健康保険の同居世帯においては、一部を除いて世帯全体の保険料負担の増加を抜本的に解決できていないなど、国民の高齢期における適切な医療を確保するものとなっていないため、制度そのものに対して多くの国民から不満の声が上がり、既に全国600を超える地方自治体から制度の見直しや中止、廃止を求める意見書が採択されている状況であります。政府においても制度の見直しについて有識者検討会を設けましたが、いまだ抜本的な解決には至っておりません。
 よって、国におかれましては、後期高齢者医療制度の導入後の実態を十分に把握し、検証するとともに、高齢者に過大な負担増を求めることなく、全国から寄せられている見直しや廃止を求める意見にこたえ、同制度の抜本的な見直しを行い、保険料を国民が公平に負担し、平等に医療を受けることができる持続可能で安心な医療保険制度の構築を行うよう強く要望するものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年12月22日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
財務大臣
厚生労働大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

雇用・能力開発機構のあり方についての意見書

 平成19年12月に閣議決定された「独立行政法人整理合理化計画」に基づき、行政減量・効率化有識者会議は9月17日に、独立行政法人「雇用・能力開発機構」の業務について廃止、または地方、民間、他法人への移管を進め、同法人を解体する方向性を示しました。
 一方、有識者会議とは別個に機構のあり方を検討してきた厚生労働省の検討会は、近年の緊急雇用対策のほとんどが機構を主体として実施されてきたこと、離職者、在職者、学卒者の職業訓練において、機構が雇用のセーフティーネットとして果たしてきた役割を評価しております。
 雇用対策法は、女性や高齢者の就業、若者の雇用促進や不安定雇用に係る雇用形態の改善に向け、職業訓練や職業能力検定に関する施策を充実させることは国の責務であると明確に規定しております。全就業者の3分の1を上回るに至った非正規雇用の増大、景気後退のもとで進む期間工の雇いやめや中小企業の疲弊など、現在の厳しい雇用情勢を考慮に入れれば、労働者の職業訓練、能力開発における国の責任と役割はますます増大しています。自社で訓練または研修を実施する余力のない中小企業の団体からも、国の支援の必要性が強調されています。
 機構の業務の廃止、民間、地方への移管を一方的に進めるとするならば、職業訓練や能力開発における国の責任、役割を放棄することになりかねません。
 よって、国におかれては、機構の今後のあり方などについて、下記の事項を十分配慮されるよう、強く要望するものであります。

1 職業訓練、能力開発における国の責任、役割を維持し、現在の厳しい経済、雇用情勢のもと、非正規雇用や中小零細企業で働く労働者など、訓練機会に恵まれない人に対する施策を充実させること。
2 雇用・能力開発機構のあり方については、有識者会議と検討会の間で考え方に違いがあることも踏まえ、「廃止ありき」で結論を急ぐのではなく、利用者からの丁寧な意見聴取を含め、個別の業務実績を詳細に評価した上で、見直すべき点は見直すこと。
3 職業訓練機能の民間、地方への移管は、雇用対策法に示された国の責務を放棄することになりかねず、職業訓練、能力開発機能の水準低下や都道府県の財政力の違いを背景にした訓練格差も懸念されていることから、拙速な結論づけは避けること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年12月22日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣
行政改革担当
衆議院議長
参議院議長
あて

国民の雇用と暮らしを守る緊急対策を求める意見書

 アメリカに端を発した金融危機が世界に広がる中で、我が国でもその影響が顕著にあらわれています。国内産業の主軸である自動車関連、電気産業関連の製造業を中心に、相次いで大幅な派遣社員や期間従業員である非正規労働者の削減が実施されており、国内産業全体への広がりが懸念されます。
 厚生労働省は、年度内に3万人を超える非正規労働者が失業する見通しとの調査報告がなされました。さらに、新規卒業者の就職内定の取り消しも発生し、深刻な雇用危機と、かつてない経済不安が急激に広がっています。
 また、長期にわたる原油高騰のもとで、個人消費が落ち込み、企業の倒産や事業縮小による失職者、離職者にも歯どめがかからないなど、地域経済の回復が見込めない中、先行きの見えない経済の悪循環にさらされています。
 かかる経済不況を弱者切り捨て的に労働弱者や地方経済がこうむるという事態は、看過できるものではありません。政府は、早急に短期及び中長期の労働政策の見直し改革を行い、雇用安定に向けた抜本的対策を示すべきであります。
 よって、国に対し、国民の雇用と暮らしを守るため、下記のとおり対策を講ずるよう求めるものであります。

1 企業の雇用に対する社会的責任を果たす観点から、雇用維持への経営努力と、派遣社員や期間従業員の解雇の見直しや縮小への再検討を実施するよう、関係企業に要請をすること。
2 便乗的な不当解雇が発生しないよう、雇用者への指導と監視を徹底すること。
3 失業給付については、非正規労働者にあっても給付が受けられるよう、制度を改善すること。
4 失業者への生活支援体制の拡充を図り、求職者への職業訓練や再就職活動の支援強化と雇用創出政策を実行すること。
5 貸し渋り、貸しはがしによる中小企業の倒産と失業者の発生を防ぐため、金融機関に対し、中小企業への貸出目標や貸出計画を明確にさせるなどの指導を行うとともに、信用保証制度については部分保証制度を撤回し、全額保証制度に戻すこと。
6 非正規雇用から正規雇用への転換を促すため、助成制度の創設や派遣労働の原則禁止、期限ある雇用契約の制限など、雇用政策を抜本的に転換し、雇用の安定と拡大を図ること。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年12月22日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
内閣府特命担当大臣
消費者行政推進担当
衆議院議長
参議院議長
あて

宮城県大崎広域水道料金の引き下げを求める意見書

 大崎広域水道の対象自治体は、ほとんどの自治体で水道料金が全国トップクラスの高料金となっています。その主要な要因は、県水の料金の高さにあることは言うまでもありません。平成22年度には、県水の料金見直しが行われることになっており、現在、需要調査を含めた各自治体との協議が進められています。
 そもそも県水が高料金となっているのは、ダム建設などの莫大な借入金返済が大きな負担となっていたからです。しかし、企業債償還金は、平成18年度をピークに、平成19年度以降は徐々に減額することになっています。
 水道料金で全国トップの高料金であった山形県では、平成20年4月から組織体制の見直し、設備の長命化など経費の節減を図ることにより、25.4%の引き下げを行いました。
 景気の悪化、物価の高騰、地震によるその後の風評被害など、庶民の暮らしはますます大変になっています。水は毎日の暮らしに欠かせないものであり、水道料金に係る負担感を少しでも軽くすることが切実に求められています。
 本市においても、人件費や経費の削減に努力してきたものの、もはやそれも限界があります。
 よって、平成22年度から県水の料金改定に当たり、あらゆる経営努力を図り、広域水道対象自治体の負担軽減を図るためにも、県水の引き下げを強く求めるものであります。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年12月22日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

宮城県知事 あて

企業の農地取得に反対し、優良農地の確保と有効利用を求める意見書

 農地は、「国民の共有財産」であり、食料自給率の向上や食料の安定供給、田畑など地域資源、農民の経営基盤として大きな役割を果たしています。
 政府はこれまで、農業生産法人の要件緩和、特定法人貸付事業による「リース方式」の全国展開などの規制緩和により株式会社の農業参入を進めてきましたが、最近では都道府県段階での違反転用や産業廃棄物の不法投棄など環境破壊が明らかになっています。
 農林水産省は、昨年「農地政策の展開方向について」を決め、来年の通常国会に向けて農地法改正の準備を進めています。耕作放棄地の解消、優良農地の確保については重要な課題ですが、所有から利用への転換による農地の有効利用の促進については大きな問題があります。
 これは財界が強く主張していた所有と経営を分離すべきとの声を受けたものですが、企業型農業経営では、利益が出なければ生産は放棄され、地域との調和や農業以外への不適切な使用も懸念され、不法投棄、遺伝子組み換え作物の生産による土壌の劣化などの環境破壊が進む危険性があります。
 農地法の規制を緩め、企業型農業が広がれば、農地法の柱である「農地は耕作者が所有すること」は骨抜きになり、森林や河川、水田などの生態系が壊され、家族農業、農村社会が崩壊するおそれがあります。また、食料安全保障や食料生産の強化が重要な課題となっている中で、食料生産の基盤である農業、農地を、利益優先の企業型経営にゆだねることは極めて危険です。
 農地政策の見直しに当たっては、「農地は耕作者が所有すること」の原則を生かしつつ、国が責任を持って優良農地の確保、維持、国内の食料安定供給体制の強化と自給率の向上を進め、農地の有効利用の促進と環境保全型農業の発展、「所有権」を持ち得る農家及び利用権設定による「耕作権」を持ち得る農家の権利保護を図るために、下記事項の実現を強く要望するものであります。

1 株式会社による農地の取得、長期貸借制度に関する規制緩和は認めず、農業生産法人への企業による出資基準については厳しく監視し、これを維持すること。
 また、耕作放棄地解消のため、農地の集落利用、市町村管理システムを確立すること。
2 国は、耕作目的以外での農地の権利取得を排除するための権利移動規制を引き続き堅持すること。
 また、農地転用許可制度や農業地域振興制度を厳格化し、転用許可事務については国による基準を明確にし、是正指導や罰則強化などの措置を講じること。
3 国は、農地の所有者、利用者の責務、国や地方公共団体の役割、機能を明確に規定するとともに、耕作放棄地の解消、減反農地の有効利用に向けた総合的かつ具体的な支援策を提示すること。
4 国は、食料自給率の向上、農地の総量確保を図るため、優良農地470万ヘクタールの確保、NPOや市民による農業参入や農地保全管理への支援、予算措置を拡充すること。
5 農業委員会による農地の監視や利用調整活動などその機能、人員など体制強化を図るとともに、必置規制は堅持すること。
6 中山間地域直接支払い制度は恒久化し、予算を拡大するとともに、農地・水・環境保全向上対策は予算の増加を図り、農地の持つ機能を多面的に支援し、消費者への理解を求め、将来は環境支払いとして制度を創設すること。
7 農地の相続税納税猶予制度については、農地の維持、有効利用、新規就農の促進を図るため、自作地だけでなく農地集積に伴う耕作権が設定されている貸付農地も認めるよう見直すこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年12月22日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
衆議院議長
参議院議長
あて

WTO農業交渉、日豪経済連携協定(EPA)交渉に関する意見書

 米国が主導するWTO農業交渉(ドーハ・ラウンド)は、市場原理による食のグローバル化を目指し、鉱工業製品と同様に農産物の保護削減の基準を決め、自由貿易を進めるものであります。
 7月の交渉では、米国など食料輸出国と輸入国の対立から土壇場で交渉が決裂しましたが、交渉再開が進むことが予想されます。日本政府は、関税の大幅な削減から除外できる米など重要品目の数を10%以上確保する姿勢から、調停案の「原則4%、条件・代償つきでプラス2%」について受け入れるかのような姿勢を見せました。当時の若林農林水産大臣は、談話で食料輸入国の立場で交渉の成功に貢献する決意を示し、また金融サミットではなぜか自由貿易体制の重要性が強調され、ドーハ・ラウンドを今年中に大枠合意に持ち込む決意が示され、農産物の関税削減に対する国民や農業者の不安が高まっています。
 一方、日豪経済連携協定(EPA)交渉は、今年8月までに計6回の会合が開催されています。豪州の主な輸出農産物は、日本の重要品目(牛肉、小麦、砂糖、乳製品)と競合しており、農業生産の規模、効率性がけた違いにある両国の間で競争はまず成り立ちません。
 仮にこれらの関税が撤廃されると、豪州から大量に農産物が輸入され、重要品目の農業生産額は減少し、日本農業は壊滅状況になることが想定されます。さらに、米国やカナダ、EUなどとのFTA交渉につながるおそれがあります。
 食料危機が迫る中、本年6月の食料サミットでも、食料安全保障は恒久的な国家の政策であるとし、食料生産の強化、農業投資の拡大が宣言されており、日本でも食料自給率の向上、食料生産体制の強化が重要な課題となっています。
 日本の食料と地域の農業、農村、暮らしを守り、食料輸入国や途上国における食料主権、多面的機能、多様な農業の共存を維持するためにも、下記の事項を強く要望するものであります。

1 WTO農業交渉では、関税の大幅な削減から除外できる米など重要品目の十分な数を断固確保すること。食料輸出国による関税の上限設定は絶対に阻止し、低関税輸入枠の拡大は認めないこと。先進国最低の食料自給率の向上や担い手確保に向けて国内支持の柔軟性を確保すること。汚染米の原因となったミニマムアクセス米は削減すること。食料輸入国や途上国の唯一の対抗手段である特別セーフガード(緊急輸入制限措置)を維持拡大すること。
2 WTOについては行き過ぎた貿易市場主義、削減されてきた農産物に対する関税、国境措置、輸出国と輸入国の不均衡などを根本から見直し、自由貿易が輸入国や途上国の食料安全保障や1次産業を衰退させ、貧困化を招き、環境負荷を高めていることなどを考慮し、食料増産や各国の農業基盤の強化、環境保全、食の安全など農業の価値を高める公正かつ新たな貿易ルールの確立を追求すること。
3 国会並びに政府におかれては、日豪EPA交渉に当たり、食料自給率向上に必要な我が国の農業及び関連産業の持続的発展と食料の安全保障を確保するため、国民の基礎的食料である牛肉、小麦、乳製品、砂糖などの重要品目は関税撤廃の除外とし、国内農業を守るよう全力を挙げて交渉すること。重要品目の柔軟性について十分な配慮が得られないときは、交渉の継続について中断も含め、厳しい態度でもって臨むこと。
 上記のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。
平成20年12月22日

宮城県大崎市議会議長 青沼 智雄

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