古文書(こもんじょ)調査と整理のしごと
古文書などの歴史資料は、現在を生きる私たちがスマートフォンなどに大切に保存しているメールや写真などの「記録」や「記憶」と同じです。
古文書がその場所にあるということは、生きてきたことの証(あかし)があることであり、もしそれが捨てられてしまうことがあれば、そこで生きてきた人たちの足跡や作り上げてきた文化を消してしまうことになります。
文化財課では、地域の歴史という大切な「記録」や「記憶」を後世へ伝えるため、残された古文書を調査したり整理したりする仕事をしています。
古文書(こもんじょ)ってどんなもの?
歴史学で扱う文献資料には、書状などの「古文書」、日記などの「古記録」、城下町などを描いた「絵図」などの種類があり、江戸時代以前に作成されたこれらをまとめて一般的に「古文書」と呼んでいます。
古文書調査をすると、明治時代以降の記録や写真なども含まれていることがありますが、江戸時代以前の古文書と同じように整理します。
古い記録を未来へ引き継ぐためにー調査と整理の手順ー
古文書の調査・整理は、所蔵している「家」ごとに行います。その家がかつてどんな職業、役職、組織に属していたのかによって、所蔵されている古文書の内容に特徴があるので、他の家のものと混ぜてはいけません。
また、ある家の古文書の中から整理しやすいもの、内容の面白そうなものだけを取り上げてはいけません。いつの時代でも、全ての職業、階層、組織によって社会が成り立っていますので、全ての古文書には同等の価値があり、優劣なく扱います。

蔵に保存されていた古文書
この古文書は、ある家の蔵に段ボールに入った状態で保存されていました。このままでは、虫食いやカビなどによって内容が分からなくなってしまいますので、状態が悪くならないように手順に沿って整理していきます。
古文書は、数点を紐(ひも)でくくって束にしたり、袋に入っていたり、「まとまり」がある状態で保存されていることが多くの場合であります。
調査・整理するときは、その「まとまり」や順番にも重要な情報が含まれていると考えて、それを崩さないように番号や記号をつけて記録します。

一点ずつ古文書を入れる専用封筒
「まとまり」の整理ができたら、その中から1点ずつ取り出します。丁寧にホコリを払い、順番に番号をつけながら専用の封筒に入れていきます。
封筒には、家名、表題(内容の見出し)、作成年代、作成者、宛先、大きさなどの情報を記載します。

古文書の写真撮影
一点ずつデジタルカメラで写真撮影をします。古文書は、主に和紙でできているため、繰り返し開いたり触ったりすると、破れたり汚れにつながります。それを防ぎ、デジタルデータによって管理することで、内容の調査や展示物として活用しやすくします。

くずし文字を解読する作業
撮影した写真を使って、くずし文字で書かれた内容を現代のひらがなや漢字に変換し、読みやすくする作業をします。

古文書を収納する専用箱
表題などの情報を一覧にした「古文書目録」を作成し、虫やカビがつかないように専用の箱に入れて保管または所有者へ返却します。
古文書の量や内容によっては、整理に数年かかることもあります。
市図書館での展示
調査・整理したものは、所有者から借用したり了承を得て、展示に活用します。
文化財課では、古文書から分かったことを、テーマを設けて紹介しています。
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更新日:2025年01月07日